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“大災害時代”の日本で人の命を守るのは国土強靱化でなく「共助」だ

地球温暖化で洪水が増加?限りある国の予算をどう使うか。切り札は?

岸本周平 国民民主党衆院議員

 3・11から9年。近年、日本が大きな災害に見舞われることが、ますます増えています。昨年10月の台風19号で、関東や東北の多くの河川で堤防が決壊、大きな被害が出たのは記憶に新しいところです。背景にあるのは地球温暖化。平均気温の上昇で雨量が増え、水害が起きやすくなっているともいいます。
 “大災害時代”に入ったとも見える日本で、私たちはどう自然災害と向き合ったらいいのでしょうか? 政治はどのような役割を果たすべきなのでしょうか? 国民民主党の選対委員長で政治の基本は「治山治水」と思い定める岸本周平・衆院議員が、防災と「まちづくり」が専門の加藤孝明・東京大学教授に聞きました。(論座編集部)

拡大加藤孝明さん

加藤孝明(かとう・たかあき)
東京大学生産技術研究所教授、東京大学社会科学研究所特任教授。博士(工学)。専門は、地域安全システム学、都市計画。防災都市計画、事前復興などの理論研究の他、まちづくりの最前線にて、まちづくりの新しいモデルの構築に携わる。地域安全学会論文賞、都市計画家協会楠本賞などを受賞。携わる地域は、総務省防災まちづくり大賞(葛飾区新小岩北)、レジリエンスアワード・グランプリ(伊豆市土肥)、国土交通省先進街づくりシティコンペ(徳島県美波町伊座利)等を受賞。

――近年、日本全国で様々な災害が起きるようになっています。平成を通じて大地震が次々と起き、大雨や巨大台風などの水害が毎年のように列島を襲うようになっている。政治の基本は「治山治水」。私は防災が専門ではないですが、一人の政治家として、人の命を救うため、災害とどう向き合うかが問われるようになったと痛感しています。

加藤 平成以降、日本は明らかに“大災害時代”に入っていると思います。1995年の阪神大震災以降、全国各地で大地震が続いています。また台風・大雨による洪水も年々、頻度が高まっています。一昨年の西日本豪雨、昨秋の台風による千葉県の停電、関東や東北での同時多発の河川氾濫は衝撃的でした。私は防災に焦点をてた都市計画、まちづくりの専門家ですが、防災の専門家として国交省や内閣府で仕事をすることが増えています。

東日本大震災後に強まる「公」頼り

――いま“大災害時代”とおっしゃいましたが、同感です。もともと日本は災害が多い国ですが、昭和の後半は大きな災害が比較的少なかった印象です。それが平成になって変わってきた。令和でもそれが続いています。

加藤 防災に関して幾つか気がかりがあります。まず、2011年の東日本大震災以来、防災を取り巻く環境がそれ以前と様変わりしていること。地球が気候変動の時代に入り、従来型の災害対応では不十分になっている点にも注意が必要です。

――東日本大震災以降、そんなに変わりましたか?

加藤 まず気になるのが、ふたつの「バランスの崩れ」です。

――バランスの崩れ、とは。

加藤 ひとつは、「自助」、「共助」、「公助」のバランスの崩れ。震災直後の被災地での助け合いを通じ、自助、共助の大切さを学んだはずなのに、時がたつにつれ、公助頼りが強まっている。自然災害からの安全は公(おおやけ)が保障すべきだという空気すら感じます。ふたつは、何が重要な問題なのかについて、バランス感覚が崩れています。

――「国土強靱化」が象徴的ですね。洪水を避けるためには、堤防を高くするしかないと、補正予算であれ本予算であれ、どんどんお金をつける。実際、この3年間は、特例として7兆円の公共事業を防災名目で積み上げています。意味がないとは言いませんが、これだけがほんとうの防災対策なのか、私は疑問を持っています。

拡大岸本周平さん

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筆者

岸本周平

岸本周平(きしもと・しゅうへい) 国民民主党衆院議員

1956年7月12日和歌山市生まれ。広瀬小学校、城東中学校、桐蔭高等学校、東京大学法学部卒業。1980年大蔵省入省、プリンストン大学客員講師、経済産業省課長、財務省課長、トヨタ自動車(株)渉外部部長、経済産業大臣政務官、内閣府大臣政務官などを歴任。2009年より和歌山1区で小選挙区4期連続当選

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