岸本周平(きしもと・しゅうへい) 国民民主党衆院議員
1956年7月12日和歌山市生まれ。広瀬小学校、城東中学校、桐蔭高等学校、東京大学法学部卒業。1980年大蔵省入省、プリンストン大学客員講師、経済産業省課長、財務省課長、トヨタ自動車(株)渉外部部長、経済産業大臣政務官、内閣府大臣政務官などを歴任。2009年より和歌山1区で小選挙区4期連続当選
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
地球温暖化で洪水が増加?限りある国の予算をどう使うか。切り札は?
加藤 全国各地で住民が主体の「まちづくり」のお手伝いもしているのですが、先進的な地域では、行政だけでは想定される大きなハザードに対応できない。だから、住民もできることから率先して前に進めるしかない。つまり、共助を当たり前のこととしてとらえています。
――私はNPO議員連盟の事務局長をやっています。3年に一度、超党派でNPO法の見直しをするのですが、NPOはまさに共助の世界です。
日本人には、「官民」と「公私」を混同している人が多い気がします。「公」の仕事は官、「私」の仕事は民がやると考えている。でも、現実は違う。「公」のはずの官僚が天下り先に躍起になったり、忖度をしたり、すっかり「私」の集団になっているのに対し、NPOや社会課題解決に取り組む若い人が、まさに「公」の仕事をしている。先進的な地域では、そういう人たち共助を掲げて活動していると思います。
加藤 その通りです。NPOの活動が目立つようになった嚆矢(こうし)は阪神大震災。「NPO元年」と言われましたね。
――それを受けて、NPO法ができたのが1998年です。
加藤 幾つかの災害を経て、NPOの成長ぶりには目を見張るものがあります。
――同感です。ただ、NPOが脚光を浴びる一方で、日本にはもともと共助の伝統があるとも思います。消防団や自治会、町内会、交通安全母の会といった婦人団体、PTAなど、中間団体的な共助の組織は古くからあります。神社もそうですね。東北にいくと、神社が津波の被害からの逃れる場所にあることが多い。歴史のなかで、住民がかつてここまで津波がきたので神社はここにしようと決めた。これも共助です。
そうした昔からの知恵をもっと活用すればいいのに、旧来型の利権政治のせいかマスメディアが悪いのか、土手を高くする公共工事ばかりが目立つ。おかしいですよね。
加藤 最近、僕は「温故創新」という言葉を気に入っています。防災の分野でいま必要なのは、まさしく温故創新ではないかと。