台湾総統選の惨敗で改革委員会が発足。「兄弟」中国共産党との関係見直しが課題
2020年02月06日
台湾の総統選挙で惨敗した中国国民党が党の立て直しに動き出した。
「戦犯」と批判された呉敦義・党主席は責任をとり辞意を表明。新しい主席は3月初めにも党員選挙で選ばれる。総統選の焦点となった中国との関係のあり方などを探る「改革委員会」も発足し、改革案を新主席に提起することになった。
次の総統選は4年後だ。1919年に孫文らによってつくられ、党名になお「中国」を掲げ、党内に根強い大陸シンパを抱える老舗は、それまでに対中路線を改革することができるのだろうか。前途は容易でない。
1月11日の総統選で、与党・民主進歩党は現職の蔡英文氏が国民党の韓国瑜・高雄市長に圧勝して再選を決めただけでなく、国会に相当する立法院でも過半数を維持した。選挙戦の最中、私は台湾のあちこちを巡り、集会や遊説を見て回った。総統候補を追いかけるだけでなく、立法院選の話題の選挙区にも出かけた。
実は、2018年11月の統一地方選挙の時も、私は台湾に入って選挙戦を見ている。この時は今とまったく雰囲気が違っていた。なかでも韓氏の勢いには驚かされたものだ。スキンヘッドに軽妙な語り口、有権者の目をじっと見て手を握り締めた直後、満面に浮かぶ笑み。その庶民性が受け、一大ブームを巻き起こしていたのだ。
南シナ海での石油採掘など、公約の中身は途方もなかった。ただ、これは台湾の選挙キャンペーンでは、さほど珍しいことではない。当初は泡沫候補扱いだった韓氏は、文字どおり「韓流」ブームを巻き起こし、民進党の牙城だった高雄市の市長を20年ぶりに奪還しただけでなく、他の地方選の国民党候補も後押しした。
結局、統一地方選で国民党は民進党に圧勝、蔡総統は党主席を引責辞任した。
統一地方選の2年前の2016年に蔡氏が総統に就任以来、台湾海峡をはさんだ両岸関係は波立ち続けていた。
国民党の馬英九・前総統が両岸ともに「一つの中国」に属することを双方で確認したとされる「92年コンセンサス」に基づき対中関係を深めたのに対し、蔡氏はこのコンセンサスを認めないことから、中国側は高官交流を遮断しただけでなく、台湾への観光客を制限するなど蔡政権への締め付けを強めた。
地方選での民進党大敗の大きな原因として、蔡政権のもとにおける対中関係の悪化があげられた。私もそうは思ったが、台湾各地を回った感触から、原因は他にもあると感じていた。
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