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小沢一郎「安倍首相の権力私物化に協力した官僚がみんな出世する」

(34)小沢一郎が安倍政治を語る・上

佐藤章 ジャーナリスト、元朝日新聞記者、五月書房新社編集委員会委員長

 司法試験を目指してきた大学院生が27歳で政界に入り、以後、自民党内では政権の中枢でこの国の政治のあり方を目撃し続け、政権党から外に飛び出してからは二度の政権交代を成し遂げて政治改革にエネルギーを注ぎ込んできた。

 その小沢一郎の来歴と回想を記してきた『小沢一郎戦記』はいよいよ現時点にさしかかった。

 現時点の日本政治は「安倍一強」とも言われるが、全有権者に占める自民党の得票割合は昨年夏の参院選を見ても2割を切っている。

 投票率が半分の50%にも満たない低い水準であることも大きい原因だ。大半の国民が日本政治の現状に諦め切った感覚を持っていることがよくわかる。

 これを逆に言えば、日本政治に希望が持てる全国的な候補者、政党が現れれば状況が一変し、安倍政治は吹っ飛んでしまうことをも意味している。その意味では、「安倍一強」という言い方は必ずしも正しい言い方ではない。

 現時点のこの政治状況について、小沢一郎はどう考えているのか。

 一見すると「安倍一強」だが、その政治の果実は非常に乏しく、「政治の私物化」に必要な権力を維持するために公文書を改竄、廃棄し、疑問だらけのその場しのぎの答弁を延々と続けている。

 こんな安倍政治に対する小沢の批判は遠慮のないものだった。

 歴史的使命感と深い洞察、持続する情熱で日本政治を揺り動かしてきた「職業政治家」(マックス・ヴェーバー)の小沢にとってみれば、「私物化」だけを頭に置く安倍政治は到底我慢のならないものだろう。

 「彼の体質といったものが、こういう私物化、腐敗を生んでいると思います。何をやっても悪いと思ってない感じですね」

 安倍政治の評価を聞いた質問に対して、ため息交じりに最初に出てきたこの言葉に、小沢の考え、感情が集約されているだろう。

 直近の政治状況についてインタビューした小沢一郎の言葉を3回に渡って報告する。

河井案里事件で自民党内にも不協和音が出てきた

拡大参院選広島選挙区に立候補した自民党の河井案里氏(左)と街頭演説する安倍晋三首相=2019年7月14日、広島市
――まず真っ先におうかがいしたいのは安倍政権への評価です。「桜を見る会」の問題や河井案里参院議員への1億5000万円提供など政治の私物化が大きい問題になっています。森友や加計問題もやはり政治の私物化の問題でした。こういう安倍首相の政治のあり方について、率直にどうご覧になっていますか。

小沢 どうしようもないくらいです。権力が長く続くと腐敗するということがあるけれども、安倍さんの場合は長いだけじゃない。彼の体質といったものが、こういう私物化、腐敗を生んでいると思います。何をやっても悪いと思ってない感じです。

――そういう感じですね。

小沢 そこが問題なんです。ああ、悪いことをやってしまった、という態度が見えればまだ論評のしようがあるけども、悪いと思わない、平気で嘘をつく。

 そして権力をまったく私物化している、おもちゃのようにしているから、もうどうしようもない政権です。いまだかつて日本の憲政史上こんな政権はなかったんじゃないですか。

――具体的に言うと、河井案里さんへの1億5000万円供与の問題では、安倍首相に対して批判的だった広島の溝手顕正参院議員を落とすために、同じ自民党の河井さんに通常の10倍もの資金を注ぎ込んだと言われています。

 これに対しては、安倍側近と言われる下村博文衆院議員や、あるいは中谷元衆院議員まで「尋常の額ではない」と言っていますね。同じ自民党内でこういう不公正なことをやる自民党総裁というのは、かつていなかったのではないですか。

小沢 いないですね。実際には選挙を金で動かすのは幹事長なんです。ぼくも、自民党時代に二度三度と全国レベルの選挙を担当したけれども、ぼくは各候補者にも各派閥にも公平に資金を配りました。

 だから、とにかく安倍さんの体質だと思う。「あいつは憎らしい、許せない」となって、こっちに金を出そうとなったんですね。

 ちょっと自民党内でも、この安倍さんのメチャクチャなやり方には批判が出始めたと思います。不協和音が自民党内でも出てきていると思う。そんな感じがする。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト、元朝日新聞記者、五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

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