南スーダン野球団vs南スーダン・オールジャパン。実現へ!
野球人、アフリカをゆく(22)日曜日の練習の成果を試そう。初の対外試合決行へ
友成晋也 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構 代表理事

南スーダン野球団のアジェンダ。
<これまでのあらすじ>
かつてガーナ、タンザニアで野球の普及活動を経験した筆者が、危険地南スーダンに赴任した。首都ジュバ市内に、安全な場所を確保して、仕事の傍ら野球教室を始める。アメリカで高校野球を経験した南スーダン人ピーターがコーチとして加わり、徐々にレベルも向上。元難民でウガンダの教育を受けた野球経験者ウィリアムが加わり、チームの厚みもました。いよいよ次にチャレンジするのは……
【連載】 野球人、アフリカをゆく
2019年夏。南スーダンに着任してから10か月が経とうとしていた。その間、週末になれば野球を指導するためにグラウンドへ通った。
移動は防弾車。日中市内の歩行は禁止。夜19時以降の外出禁止。指定の宿舎に住み、各部屋には防弾チョッキとヘルメットが配備されて、関係者は全員携帯電話の他に無線機を持つというジュバ生活。
「防弾車で巡るジュバ。野球ができると牛のお告げ」参照
そんなところで野球をやるって、いったいどんな神経してんだよ、と感じられる向きも多いと思う。あるいは、のんびり野球をやってる南スーダンって、すっかり平和になったのね、と思われる方も多いだろう。
いったい、南スーダンは危険地なのか、平和なのか。
ずるずる続く「平和な状態」
答えはズバリ、今は平和だ! と、言いたいところだが、そこには注釈がつく。「束の間のはずだった平和な状態が、ずるずる安定的に続いている」という状態なのだ。
こんな説明ではさっぱりわからないだろうから、解説しよう。
南スーダンの政情については、第8話で触れた通り、2018年10月31日に平和式典が開催され、政治闘争を繰り広げてきた現職のキール大統領と、前副大統領のマチャール氏が2年ぶりに首都ジュバで面会した。この時点では、半年後の2019年5月12日までに、大統領率いる政府側と元副大統領のマチャール率いる反政府軍が、合同で「暫定政権」を樹立。それから3年後に選挙を実施し、正当な政権を作る、という和平合意が確認された。
ちなみに、南スーダンでは、2011年の独立後、2013年、2016年と二度にわたって大規模衝突があり、両勢力の間で和平合意が締結されては反故(ほご)にされる、ということが繰り返された。だから、今回の和平合意は、正確には「再活性化された和平合意」という。