インターネット空間をめぐる覇権争い
2020年02月11日
中東のイエメンでインターネットサービスを提供する会社(Global Cloud Xchange)が発表したところによると、2020年1月9日、海底ケーブル2本が切断された。商船の錨によって損傷を受けたとみられている。
このため、インターネットへの接続能力の8割が失われ、近隣のサウジアラビア、クウェート、スーダン、エチオピアにも悪影響が出た。この海底ケーブルは光ファイバーが数本束ねられたうえで金属や樹脂で保護されている。これが損傷すれば、インターネットなどのデータ通信ができなくなる。
インターネットでのデータ通信の9割以上は海底ケーブルを通過する。通信衛星を経るケースもあるが、海底ケーブルは明らかにインターネットを支える主要インフラと言える。だからこそ、海底ケーブルの切断といった事故・事件には無関心ではいられない。
2006年12月26日に台湾南部の海底で起きた地震で、七つの異なる海底ケーブルに9カ所の損傷が生じたため、インターネットが一時できなくなった。修理には7週間を要したという。2008年の1月から2月にかけてと12月19日に、複数の海底ケーブルの切断が起きた。
後者の事故によって、モルジブでのインターネット接続が100%できなくなったほか、エジプト、サウジアラビア、インド、マレーシアなど14カ国が被害を被った。2010年1月12日、ハイチ地震が起こり、海底ケーブル設備が打撃を受けた。2011年3月11日の東日本大地震やその後の津波で複数の海底ケーブルが切断されたことも思い出される。2017年12月には、南アフリカの農夫がトラクターで地上のケーブルに損傷を与えた結果、ジンバブエでのインターネット利用が5時間ほどできなくなったこともある。
海底ケーブルは最初、銅線を被覆して電信を行うために敷設された。そのパイオニアとなったのは
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