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地政学からみた海底ケーブル

インターネット空間をめぐる覇権争い

塩原俊彦 高知大学准教授

 中東のイエメンでインターネットサービスを提供する会社(Global Cloud Xchange)が発表したところによると、2020年1月9日、海底ケーブル2本が切断された。商船の錨によって損傷を受けたとみられている。

 このため、インターネットへの接続能力の8割が失われ、近隣のサウジアラビア、クウェート、スーダン、エチオピアにも悪影響が出た。この海底ケーブルは光ファイバーが数本束ねられたうえで金属や樹脂で保護されている。これが損傷すれば、インターネットなどのデータ通信ができなくなる。

インターネットを支える海底ケーブル

拡大 Ideal Stock PhotographyA / Shutterstock.com

 インターネットでのデータ通信の9割以上は海底ケーブルを通過する。通信衛星を経るケースもあるが、海底ケーブルは明らかにインターネットを支える主要インフラと言える。だからこそ、海底ケーブルの切断といった事故・事件には無関心ではいられない。

 2006年12月26日に台湾南部の海底で起きた地震で、七つの異なる海底ケーブルに9カ所の損傷が生じたため、インターネットが一時できなくなった。修理には7週間を要したという。2008年の1月から2月にかけてと12月19日に、複数の海底ケーブルの切断が起きた。

 後者の事故によって、モルジブでのインターネット接続が100%できなくなったほか、エジプト、サウジアラビア、インド、マレーシアなど14カ国が被害を被った。2010年1月12日、ハイチ地震が起こり、海底ケーブル設備が打撃を受けた。2011年3月11日の東日本大地震やその後の津波で複数の海底ケーブルが切断されたことも思い出される。2017年12月には、南アフリカの農夫がトラクターで地上のケーブルに損傷を与えた結果、ジンバブエでのインターネット利用が5時間ほどできなくなったこともある。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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