(33)陸山会事件で「虚偽捜査」の標的となった小沢元秘書の石川知裕氏に聞く・下
2020年02月17日
「素直に吐けばいいんだよ」と言われて、もう脅しすかしで、その後、涙まで流して「あなたは北海道の選挙民から選ばれて、有権者が悲しむじゃないですか」とか言うわけです。私としては、何であなたが悲しむんだよ、という話です。
それで、佐藤優さんから「とにかく吉田には気をつけろ」という紙が送られてきて、私は吉田さんの機先を制した方がいいなと思って、対抗上、土下座とかしたわけです。
佐藤優は同志社大学神学部卒業後、外務省に入省、ソ連担当として鈴木宗男らとともに北方領土返還などに尽力したが、「国策捜査」の末に背任容疑などで逮捕された。拘留中の取り調べで容疑を一切認めず、拘留期間は512日間に及んだ。
佐藤は早くから小沢一郎、石川知裕の無罪を主張、拘留中の石川に対し、弁護士に託して61通のメッセージを送って励ました。その中の2010年2月3日のメッセージにはこう記されている。
「鈴木宗男事件で、吉田正喜は取り調べ室で泣いて、土下座して業者にウソの自白をさせた。こいつには要注意」(『誰が日本を支配するのか!?』)
吉田正喜は中央大学法学部卒業、東京地検特捜部副部長として陸山会事件を担当。石川を担当した田代検事と共謀して虚偽捜査報告書を検察審査会に送り、小沢一郎の起訴相当議決を導いたとして市民団体から告発された。
しかし、同時に告発された田代とともに不起訴となっている。
虚偽捜査報告書について、小沢に無罪を言い渡した東京地裁判決は、作成の経緯や理由、原因などを徹底的に調べるよう検察庁に厳しく求めた。
しかし、検察は最終的に田代の「記憶違い」という結論を出した。このため、当時の民主党政権の小川敏夫法相は、正しく再調査するよう検察を指導する目的で、指揮権発動を決断した。だが、野田佳彦首相に最終報告する予定だった日の前日にあたる2012年6月4日、突如法相を解任された。(『指揮権発動 検察の正義は失われた』)
――吉田さんが、秘書の事件にして終わらせましょうと提案したということですが、秘書の事件というのはどういう意味ですか。
石川 結局、石川が5000万円をもらったことにしろ、ということです。
――それは、あまりにひどいじゃないですか。
石川 もう、びっくりですよ。賄賂をもらって、秘書が自分の懐に入れたことにしたらいいじゃないか、というわけです。
――副部長の吉田さんが、そういうことを提案されたわけですね。
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