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アカデミー賞4冠、ポン・ジュノ監督のファミリーヒストリーと表現の自由

伊東順子 フリーライター・翻訳業

民主化と韓国映画の386世代

 韓国における民主化と表現の自由の実現、それが韓国映画に与えた影響は大きい。『シュリ』(1999)のカン・ジェギュ、『JSA』(2000)のパク・チャヌク、そして『殺人の追憶』(2003)のポン・ジュノ。彼らはいずれも386世代(1990年代に30代、80年代に大学入学、60年代生まれ)の監督たちだ。この世代はあらゆる分野で韓国社会をダイナミックに変革したが、韓国映画もまた例外ではなかった。

 彼らは貪欲でとても謙虚だった。

 2000年代の初頭までは、日本には今のような韓流専門のライターさんもおらず、私は代わりにインタビューしたり記事も書いたが、とにかくみんな勉強熱心だった。特に監督も俳優さんも、当時はまだ「禁止」だった日本映画の話になると、身を乗り出した。その一方で驚いたのは、彼らの多くが「香港映画の影響をうけた」と言っていたことだ。なるほど、民主化以前はそれがもっとも身近な映画だったのだろう。そのあたりのこともいつか書きたいと思うが、今回はポン・ジュノ監督のことを少しだけ書いておきたい。ずっと授賞式の映像を見ていたせいか、一日中頭から離れない。

 実は、彼がまだ延世大学の学生だった頃、私もそこで仕事をしていた。

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筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『もう日本を気にしなくなった韓国人』(洋泉社新書y)、『ピビンバの国の女性たち』(講談社文庫)等。

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