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1点差の激戦!南スーダン野球団vsオールジャパン 

野球人、アフリカをゆく(23)取られたら取り返すシーソゲームの末……

友成晋也 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構 代表理事

拡大南スーダン史上初めての試合は一見大味な試合のように見えるが、大熱戦だった

<これまでのあらすじ>
かつてガーナ、タンザニアで野球の普及活動を経験した筆者が、危険地南スーダンに赴任した。首都ジュバ市内に、安全な場所を確保して、仕事の傍ら野球教室を始める。アメリカで高校野球を経験した南スーダン人ピーターがコーチとして加わり、徐々にレベルも向上。元難民でウガンダの教育を受けた野球経験者ウィリアムも加わり、チームの厚みも増した。いよいよ初めての対外試合に臨む。

 薄い水色の空に浮かぶいくつもの雲が、時々陽ざしを遮ってくれる。そのせいか、いつも白く光ってまぶしいグラウンドが、今日は幾分落ち着いたベージュ色に見える。

石灰で初めて描いたダイヤモンド、バッターボックス……

 「そこ、もうちょい左。もっとピンと張って!」。ホームベースの後ろに腰を下ろしているユニフォーム姿の私が、早く来た何人かの選手たちにメジャーの端を持たせ、指示を出す。

 「ジオン、メジャーはホームベースの角を起点にして測るんだ。そして、ダイヤモンド(野球場のホームベースと他の3つの塁に囲まれた区域)は正方形だから、角度は正確に90度で一塁側と三塁側に線を引いて」

 うなづきながら私の指示を聞いているキャプテンのジオンのところに、コーチのピーターが「さあ、ホワイトパウダーを持ってきたぞ」と大きな石灰袋をどさりと置いた。「まずはダイヤモンドの下書きを木の枝を使って描くんだ。そのあとに石灰で上書きするんだぞ」という私の指示にうなづくジオンに、あらかじめ半分にカットしたペットボトルを渡す。「これに石灰を入れてきれいに描いていくんだ」

 何人かの選手で初めてダイヤモンドを石灰で描いている間、ピーターとウィリアム両コーチは他の選手たちを引き連れてグラウンドの奥の方に置いてあったベンチを運んできた。

 初めての対外試合。それはすなわち、試合の準備をすることも初めてということだ。選手たちは、慣れない手つきで、褐色の手を真っ白に汚しながら、バッターボックスや塁間の白線を一生懸命描いていった。一塁側と三塁側それぞれにベンチも設置され、ネックストバッターズサークルも不器用な形の円形で描かれ、野球場の雰囲気が出てきた。

拡大広いジュバ大学のグラウンドの奥から運んできたベンチ。どこからか集まってきた小さな子供たちも手伝ってくれる

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筆者

友成晋也

友成晋也(ともなり・しんや) 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構 代表理事

中学、高校、大学と野球一筋。慶應義塾大学卒業後、リクルートコスモス社勤務を経てJICA(独立行政法人国際協力機構)に転職。1996年からのJICAガーナ事務所在勤時代に、仕事の傍らガーナ野球代表チーム監督に就任し、オリンピックを目指す。帰国後、2003年にNPO法人アフリカ野球友の会を立ち上げ、以来17年にわたり野球を通じた国際交流、協力をアフリカ8カ国で展開。2014年には、タンザニアで二度目の代表監督に就任。2018年からJICA南スーダン事務所に勤務の傍ら、青少年野球チームを立ち上げ、指導を行っている。著書に『アフリカと白球』(文芸社)。

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