メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

1点差の激戦!南スーダン野球団vsオールジャパン 

野球人、アフリカをゆく(23)取られたら取り返すシーソゲームの末……

友成晋也 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構 代表理事

大人の風格のオールジャパンチームが登場

 選手たちがウォーミングアップを始め、全員揃ってランニングやストレッチ体操を行っている頃、在留邦人チーム「南スーダンオールジャパン」のメンバーがほぼそろってきた。南スーダン野球団のメンバーを見ながら、「意外とちゃんとしているなあ」「なんか強そうだぞ」と言った声が上がる。

拡大オールジャパンチームの試合前記念撮影。平均年齢は南スーダン野球団の倍以上。所属先はバラバラながら、野球を通して一丸になった
 オールジャパンチームのメンバーは15人。国連関係者4人、NGO1人、コンサルタント3人、PKO関係者3人、JICA4人。うち女性が5人を占める。思い思いのいでたちだが、スポーツができる格好で集まっている。

 南スーダン野球団メンバーがキャッチボールを始めると、オールジャパンチームもグラウンドに出て、思い思いにウォーミングアップやキャッチボールを始める。こちらは平均年齢が南スーダン野球団選手の軽く倍以上(推定)。みなさん、笑顔を見せながら大人の風格を醸し出している。

 ある程度準備が整ったところで、輪になって集まっている日本人チームに、私は挨拶がてら乗り込んでいった。

 「本日はお集りいただき、ありがとうございます!昨日のランチ会でも申し上げたのですが、怪我をしないで、でも、フリだけでもいいので、一生懸命プレーしてください。彼らはまだ試合ができるようになって数カ月。ルールもまだ十分わかっていません。盗塁もパスボール(捕逸:キャッチャーがボールを捕り損なってしまい、走者を進塁させること)もなしでお願いします」とお願いとローカルルールを伝えた後、最後に付け加えた。

 「いうまでもないことですが、もちろん勝ってくださいね。それも大差で。万が一彼らが初めての試合で勝ったりしたら、野球を舐めてしまいますから」。ニコニコしながら言ったつもりの私だが、たぶん目は笑ってなかったと思う。

だめだ。完全に舞い上がっている

 気づけば、試合開始の13時30分が迫っていた。合同で試合前ノックをやりたかったがそれは割愛して試合を始めることにした。審判役のイマニこと今井史夫に「予定開始時刻になりそうなので、ベンチ前に整列させましょう」と声をかけた。

拡大ベンチ前整列し、「いくぞ!」「おーっ!」と元気よく飛び出す南スーダンナイン
 マスクをもち、ベース前に立って「集合!」と声をかけるイマニ。「いくぞ!」「オーっ!」と練習していたどおり声をあげ、ベンチから駆け出していく選手たち。その向こう側にホームベース前に並ぶオールジャパンチームが見えた。

 ん、何かがおかしい? ふと見ると、選手たちがホームベースから一塁ベースへのライン上に並んでしまっている。オールジャパンチームはきちんと並んでいるのに、なぜそれに気づいて合わせないのか……。

 「ノー!ノー!いつもと同じように、相手チームに正対して並んで!」と叫ぶ私。審判のイマニからも注意され、おずおずと並び直す選手たち。

 だめだ。完全に舞い上がっている…。

・・・ログインして読む
(残り:約5304文字/本文:約7482文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

友成晋也

友成晋也(ともなり・しんや) 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構 代表理事

中学、高校、大学と野球一筋。慶應義塾大学卒業後、リクルートコスモス社勤務を経てJICA(独立行政法人国際協力機構)に転職。1996年からのJICAガーナ事務所在勤時代に、仕事の傍らガーナ野球代表チーム監督に就任し、オリンピックを目指す。帰国後、2003年にNPO法人アフリカ野球友の会を立ち上げ、以来17年にわたり野球を通じた国際交流、協力をアフリカ8カ国で展開。2014年には、タンザニアで二度目の代表監督に就任。2018年からJICA南スーダン事務所に勤務の傍ら、青少年野球チームを立ち上げ、指導を行っている。著書に『アフリカと白球』(文芸社)。

友成晋也の記事

もっと見る