正確な感染状況の情報シェアでリスクを回避
2020年02月23日
「アモイガーデン」。この香港のマンションの名前はをまだ記憶している人は、日本にも少なくないかもしれない。2003年のSARS疫禍で香港の九龍湾地区にある、香港の典型的な密集型マンション群である淘大花園(Amoy Gardens)で312人ものSARS感染者が出て海外にも大きく報道された。
敷地面積は東京ドームの4割である2万㎡に30〜40階建てのマンション19棟が寄せ合い約4,800世帯の約1万人が居住する。深刻な感染はとくにE棟に4割が集中。この棟に強度な感染力のある保菌者がおり、下水道管を介して階下に、そして浴室の換気扇からウイルスが近接の棟にも広まっていた。E棟の住民は3月末から10日間、住宅地から比較的距離のある自然活動センターの宿泊施設に強制的に隔離された。
それから17年。このSARS疫禍の経済打撃で香港の地価は大幅下落したが、その後の中国政府の香港経済テコ入れでアモイガーデンの中古マンション価格も当時の底値から3倍になった、あの時にマンション購入図った人は先見の名があった……などと今では日本円なら億ションの高値にため息の香港だった。そこに武漢を発生源とする新型コロナウイルスの襲来である。
2003年のSARSは、上述のアモイガーデンE棟で感染源となつた保菌者の他に広州から香港に親戚の結婚式参加で来ていた大学教授など核となる感染者の宿泊先、居住地が明らかで、そこからどういうルートで感染が広まったかも当局は分析しやすく、その情報が逐次、政府やメディアを通じて市民の間に伝達され、自分の感染の可能性など注意喚起に役立った経験がある。
今回の新型コロナウイルスはSARSほど致死率も高くないのだけが不幸中の幸いだが感染力は強く、しかも感染ルートの把握はSARSより難しい。それでもSARSの経験を活かして、今回も感染情報のシェアが「そこまで公開するか?」と驚くほど徹底している。
香港で市民に最初の感染が確認されたのは今年1月23日。湖北省の武漢で昨年12月から謎の肺炎が発生しているという情報がSNSで流れ始め、中国政府で習近平国家主席が
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