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国際情勢を不安定化させかねないドイツ政治の混迷

極右との連携を巡り激震に揺れる与党は安定を取り戻せるか

花田吉隆 元防衛大学校教授

つまづいた「総総分離」

 メルケル首相はクランプカレンバウアー氏を後継にした時、「総総分離」を決めた。党はクランプカレンバウアー氏が、政府は自分が仕切る。当時、メルケル首相には逆風が吹いていた。2017年の総選挙で、CDUは勝利したものの、その得票は1949年以来最低に落ち込んだ。裏に2015年の難民危機があった。CDUはその嫌な流れを、1年後の2018年10月、バイエルン州とヘッセン州の州選挙で食い止めようとした。しかし、結果はCDUの予想以上の大敗。轟轟たる非難の中、メルケル首相が考え出したのが「党首を辞任する」、しかし「首相には残る」だ。党首の座を明け渡したことによりメルケル批判は収まった。後は、クランプカレンバウアー新党首が育つまで横で見守ればいい。

 ところが、ことはそううまくはいかない。クランプカレンバウアー党首が首相の器でないことが次第に露呈していく。2019年初めのLGBTに関する不適切発言、続いて5月のネット規制に関する不用意発言。一つ一つは大したことのない話だ。しかし、それが積み重なり、次第に同氏を見る国民の目が厳しくなっていく。同氏はリーダーとしてふさわしくないのではないか。チューリンゲン州の一件は、そういう流れの中で起きた。いわば、クランプカレンバウアー党首の息の根を止める最後の一撃だったわけだ。

 クランプカレンバウアー党首は、「総総分離」はうまくいかなかった、と暗に匂わせた。それはそうだろう。首相として脚光を浴びるのは依然メルケル首相だ。その陰で、党首として黙々と党務に励む。その党務だって、実権はメルケル首相が握っている。クランプカレンバウアー党首が思い切りやれるわけがない。

 同氏にとり、悪条件はさらに二つあった。一つは、昨年党首になってから選挙が立て続けに4つもあったことだ。2019年5月の欧州議会選挙と9、10月の3つの地方選だ。そのいずれも、選挙の前からCDUは苦戦が伝えられていた。特に旧東独地域はAfDが強い。当初から地方選挙でCDUが勝利する見込みは薄かったのだ。それでもふたを開ければザクセン州では何とか第一党の座を死守した。クランプカレンバウアー党首は悪条件の中よく戦った。しかし、政治は何と言っても結果だ。前回の2014年に比し7(初めの2州)乃至11(チューリンゲン州)ポイントも失った。同氏の下で2021年の選挙が戦えるのか、との声が広がっていく。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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