日韓境界人が見たコロナ対策「日韓格差」
一市民からみて日韓コロナ対策には大きな差がある。韓国の方が遥かに民主的で健全だ
藏重優姫 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授
韓国の「即対応」
最近の韓国でのラジオは、MCのこんなコメントから始まった。
毎日、テレビで見るチョン・ウンギョン疾病管理本部長は日ごとにやつれ、白髪が一挙に増えたように見え心配です。彼女は、毎日コロナ19に対する状況をあるがまま伝え、そこには、政治的主張も政治的策略も無い。ただありのまま伝えるだけです。彼女は、弁当も移動中の車両の中でとり、一日1、2時間しか寝てないと言う情報も伝え聞く。彼女の姿勢に尊敬と拍手を贈る一方で、政治家たちは選挙を前に、この事態さえカードに使っていることにとても腹立たしく思います。
もちろん、この事態を利己的に利用する韓国の政治家も最悪だ。ただ、この時期に立食パーティーを催す政治家は韓国にはいない。
数日前の韓国のラジオは、こう呼び掛けていた。
大邱(テグ)では、賃貸主の相次ぐ値下げが行われているそうです。20%割引、3か月間家賃をもらわない、など市民の工夫と努力がうかがえます。ただ、このような市民の対応だけに任せておいてはいけません。現在、自営業の人たちの抱える困難は相当なものです。政府も前に出るべきです。今は、(政策を)締める時ではなく、緩める時なんです。
長引く経済、社会の停滞を予見して、市民も動き出している。
このコロナ19をめぐり、この1か月、韓国では「即対応」が見えた。
大邱に対して「大邱コロナ」「慶北コロナ」などの差別的な表現が出現すると、即、大邱市長がそのような差別発言には断固立ち向かうと宣言。大邱は今、このような対応をしているとの風評被害を食い止めるブリーフィングを行った。
各道の道長が朝からそれぞれ、どのような状況でどのような対応をする等々、コロナ19に対する韓国政府の対応は、毎日、大なり小なりブリーフィングの嵐だ。
この事態に乗じて、インターネットで偽情報を流す者が出れば、即、政府がブリーフィングをして法的処置を下すと声明を出す。マスクの大量購入を厳重に監視し厳罰と処す等々、行政は一々対応している。
私の近くのダイソーでは、マスクを一人一回3枚までとして売っていた。政府の声明を背景に、巷にもすぐ反映されていることが身近に伝わる。