[176]ワシントンDC、トランプ支持者、高校闘争半世紀シンポジウム……
2020年02月29日
2月5日(水) 朝4時半にホテルをチェックアウトして、ワシントンDC行きの飛行機に乗ったはいいが、出発時刻になっても全然飛ばないのだ。すると、技術的なトラブルがあってチェックしているとの機長自身のアナウンスがあった。ええっ? 先の目途がなかなか立たない。乗客のなかには諦めて降りて行った人もチラホラ。ただ僕らの場合、取材機材が大量にあって、それをすでに機内に積み込んでしまっている。困った、困ったと思っていたら、何とか2時間近く遅れて飛び立つという。まあ、ソビエト時代のアエロフロートとか、イランで7時間遅れだったことを考えれば大したことないさ。
ワシントンDCでは、元共和党上院議員のトム・デイビス氏に会って、いかにトランプが共和党を乗っ取っていったかを語ってもらうことになっていた。DCについて空港から直行すれば何とギリギリ予定時間通り間に合うことになった。何という慌ただしい取材の連続か。まあ、こんなものだ。
トム・デイビス氏の仕事場のオフィスは、いかにもワシントンDCのハイソサイエティの人々が居住するビルの空間で、カメラマンチームの腕の見せどころいう感じの場所だった。会議室はガラス張りで、中で誰と誰が話し合っているかが角度によって見えたり見えなかったりする特殊ガラスで仕切られていた。
トム・デイビス氏はメディア慣れしていて、無駄なことを一切言わない。曰く「トランプという人物はテレビのリアリティショーで視聴者の心を掴んでのし上がった人物だ。リアリティショーなんか見たこともないエリート共和党議員とはそこが違う。従来の共和党員がトランプを好きになれないとしても、トランプの背後には熱狂的な支持者たちがいる。共和党はそういう意味でトランプに乗っ取られた。もう誰も彼には逆らえない。一番、トランプが支持されている理由は好調な経済だ」と。簡にして要を得た答えに感心してしまった。
休む間もなく取材し続けて若干疲れた。支局まで歩いていける近くのホテルにチェックインして休憩。コーディネーターの池原麻里子さんから、勝手知ったるEストリートシネマで、Oscar Nominated Short Filmsを上映していると聞いて、午後2時45分からの回に飛び込む。アカデミー賞にノミネートされた短編映画5本の特集上映。一本が20分前後だが、これが揃いも揃ってとても面白かった! その5本とは、①Brotherhood ②Nefta Football Club ③The Neighbor's Window ④Saria ⑤A Sister。個人的には④と③がとても気に入った。20分くらいでここまで深いものが表現できるんだなと。
その後、アウトレットで少し買い物をしてからホテルで眠る。トランプ大統領に対する上院の弾劾評決で、弾劾相当の演説を共和党議員として唯一人行ったミット・ロムニー上院議員のスピーチに驚いた。何と感極まったのかロムニー氏は途中10秒ほど言葉が出なくなった。議員生命を賭してのスピーチだったのだろう。共和党穏健派でかつては2期目のオバマと大統領選挙を争った人物だ。もともとアウトサイダーだったトランプとは全く違う出自だ。政治とは残酷なものだ。日本にはロムニーはいない。
CNNはこのシーンと、きのうのトランプ大統領の一般教書演説で、ナンシー・ペロシ下院議長が、演説終了と同時に演説原稿のコピーをビリビリ破り捨てるシーンを繰り返し流している。それにしても一般教書演説は、まるでリアリティTVショーだった。ベネズエラの「暫定」大統領までゲストとして登場させていたのには驚いた。
2月6日(木) ホテルを11時に出て、4年前と2年前に訪ねたバージニア州在住のジョアン・チェイス女史に会いに行く。ヒスパニック系の熱烈なトランプ支持者だ。4年前にも増して、トランプ支持の度合いは強くなっていた。夫の方は体調があまりよくないようだった。去年ホワイトハウスで開かれたヒスパニック系支持者との集いで一緒にカメラで撮ったトランプ大統領の写真を自慢げに僕らに見せてくれた。こういう人もいるんだ。僕はどちらかというと若干ウンザリしてしまったが、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください