日本に生かせる教訓は
2020年03月02日
中国は「社会信用体系」という、国務院が2014年6月に発表した「社会信用体系構築計画綱要(2014~2020年)」を推進している。社会の持続的発展のために「信義誠実の欠如」という問題を改善する目的で信用情報システムを整備し、さまざまな信用データベース化が計画された。
その一環として、主要都市での監視体制の強化が進み、都市部では「天網工程」(Skynet)、農村部では「雪亮工程」(Sharp Eyes)という監視システムが整備されつつある。顔認証システムがこれに組み込まれて、衆人環視の道へと踏み出したことになる。
こうした監視社会が今回の新型コロナウイルス騒動で「役に立っている」らしい。2020年2月12日付の「南華早報電子版」によれば、春節の休み前に500万人以上が武漢から離れたが、当局はその足跡をたどることができたという。
だれもがスマートフォン携帯している時代に入り、追跡が可能となったのだ。恐ろしいことに、プライバシー保護が不十分な中国では、武漢への渡航歴のある人々の写真や携帯電話番号を含む個人データがインターネットやソーシャル・メディアにリークされ、脅迫を受ける騒ぎまで起きた。監視システムの顔認証を使って当該人物を特定することは比較的簡単だから、事態は深刻であったことになる。
もっとも、マスクで顔を覆うと顔の認証精度は3割方低下するらしい。だからこそ、香港での反政府活動者にマスク着用を禁止したわけである(関連記事「香港政府の覆面禁止 「顔認証」への重い問いかけ」を参照)。それでも、新型肺炎という「大疫」に「人民戦争」で挑もうとしている習近平指導部は監視システムの積極的に利用しようとしている。手段を選ばず、何でもやる覚悟がみえる。
その典型が「濃厚接触検出器」(close contact detector)アプリの登場だろう(YouTubeを参照)。中国国家衛生健康委員会は2月8日、人々が新型コロナウイルスに感染したリスクをチェックできるように
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