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小沢一郎戦記(完)~ポスト安倍時代を見据えて

(36)小沢一郎が安倍政治を語る・下

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

「安倍さんの考えは戦前昭和の軍閥とまったく似ている」

――安倍首相は憲法9条の改憲をしきりに言っていますね。自衛隊を明記するんだ、ということですが、これについてはどう考えますか。

小沢 法律的用語で言えば自衛のための戦力を保持するということですが、そのこと自体は悪いことではありません。しかし、だからと言って9条を変える必要は何もないですね。

 自衛権というものは、どの個人でも、あるいは国連憲章でどの国でも保有しているもので、自然権として認められているものですから、別に憲法に書かなくてもいいんです。事改めて書かなくても、現実に自衛隊は存在しているわけですから。

――そうですね。

小沢 書かなくともいいんですよ。だから、安倍さんの本当の狙いはそういうことではないんですね。彼の思い描いている危険な体制を作りたいんですよ。

――なるほど。

小沢 安倍さんの考えていることは、戦前昭和の軍閥とまったく似ています。

 要するに統帥権の独立を主張して、軍が独走してしまった。これは実態としては行政官僚も一緒になっていたんだけど、そういう類のことを何とかいろいろとこじつけてやってしまおうということです。

 明治憲法においては天皇大権はすべて内閣の輔弼を受けていたんです。言葉は違うけど、現憲法の第3条と第7条にある「内閣の助言と承認」による「天皇の国事行為」と同じような構成になっていたんです。要するに、内閣が認めて天皇が大権を行使するということです。

 それを無理矢理に天皇は陸海軍を統帥するという条文を引っ張り出して、統帥権だけは内閣から独立しているんだと軍部がやり出したんですね。ある意味、それと逆みたいなやり方だけど、同じ狙いのことを安倍さんはやろうとしているんですよ。

――なるほど。言ってみれば現代の統帥権みたいなもので、安倍さん自身がその統帥権を握ってしまうという狙いですね。

小沢 そうです。そういう、いわゆる統帥権を握ってしまって勝手なことをやりたいということです。だから、軍事的にも世界の大国になりたいということになるんですよ。

――そういうことですね。

小沢 その軍事大国化に利用しているのが、朝鮮半島であり、中国でありロシアなんです。もっとも、安倍さんはロシアにもどこにも相手にされていないようですが。緊張が高まっていると言って、軍備の拡張を図ろう、制度の改廃を図ろうとしているんです。

拡大小沢一郎氏

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

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