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中島岳志「安倍内閣ではコロナ危機を収束できない。今は『石破内閣』しかない」

石破茂は変わった。彼は静かに勝負に出ている。

中島岳志 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

新自由主義からの転換

 『月刊日本』2019年11月号に、「危機に直面する保守政治」と題した石破と私の対談が掲載されている。石破は対談に快く応じてくれた。

 この対談で明確に語られているように、石破は態度の変化を認めた。私の「なぜ新自由主義に対するスタンスを変えたのでしょうか」という問いに、次のように答えている。

 それは日本でも格差が拡大し、固定化しつつあるからです。グローバル化が進み、高度経済成長期を終えて、日本国内における雇用や賃金のあり方も多様になった一方で、雇用の流動性や再教育の機会は十分に確保されませんでした。その結果、所得の高い層はずっと所得が高く、所得が低い層はずっと低いまま、という格差が、教育格差にも反映して世代を超えつつあります。国と国との格差は縮まるが、国内の格差は拡大するというのがグローバリズムなのです。

 石破は、新自由主義政策の結果、格差が拡大するとともに固定化してしまったことを認め、反省しているのだ。

 様々な規制緩和によって雇用が流動化し、職業訓練などの再教育政策も不十分だったため、不安定で低賃金の労働者が固定化している現実を直視している。労働市場の自由化により非正規雇用となったロスジェネ世代は、40代の中年になっている。彼ら・彼女らは不安定な雇用のまま、そして貧困状態を抱えたまま、高齢化している。

 この状況をどうにかしなければならないというのが、石破の現在のスタンスなのだ。

消費税への懐疑

 石破は、低所得者対策こそが喫緊の課題だと言う。そのときに彼が率直に語ったのは、消費税に対する考え方の変化である。

 かつて石破は、消費税の増税を強く主張していた。消費税によって財源を確保し、財政健全化と地方経済へのてこ入れを進めるべきと言うのが石破の議論だった。

 しかし、彼は考えを変えた。

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筆者

中島岳志

中島岳志(なかじま・たけし) 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学でヒンディー語を専攻。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科でインド政治を研究し、2002年に『ヒンドゥー・ナショナリズム』(中公新書ラクレ)を出版。また、近代における日本とアジアの関わりを研究し、2005年『中村屋のボース』(白水社)を出版。大仏次郎論壇賞、アジア太平洋賞大賞を受賞する。学術博士(地域研究)。著書に『ナショナリズムと宗教』(春風社)、『パール判事』(白水社)、『秋葉原事件』(朝日新聞出版)、『「リベラル保守」宣言』(新潮社)、『血盟団事件』(文藝春秋)、『岩波茂雄』(岩波書店)、『アジア主義』(潮出版)、『下中彌三郎』(平凡社)、『親鸞と日本主義』(新潮選書)、『保守と立憲』(スタンドブックス)、『超国家主義』(筑摩書房)などがある。北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。

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