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新型コロナ:日本型意思決定システムが働かない時

日本が弱い「もう一つの」意思決定システム

花田吉隆 元防衛大学校教授

拡大新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大への対応などについての記者会見に臨む安倍晋三首相。奥左端は菅義偉官房長官=2020年2月29日、首相官邸、代表撮影

 2月27日、安倍首相は全国の小中高等学校に対し、春休みまでの臨時休校を要請した。あくまで、最終決定は各自治体の教育委員会等に任せるというものの、事実上の政府決定だ。これを受け、教育現場や保護者からは戸惑いの声が上がる。何せ、発表があったのが木曜で実施が翌週月曜となれば準備期間は実質上、金曜一日しかない。しかも、学期末だから、試験や卒業式もある。授業は文科省指導要領に沿い進めなければならないが、これでは授業日数が足りず、予定した授業内容をこなせないばかりか評価もできない。

 何より、とまどいがあったのが、働いている親御さんたちだ。家にいる子供をどうやって見たらいいのか。かといって、仕事を休むわけにもいかない。非常勤の場合、収入にも直結する。これから春休みも加えれば、期間は1カ月以上になるが、その間、子供たちはどこで過ごすのか。というのは、図書館も子供の来館自粛、児童館も閉鎖、果ては、ディズニーランド休園、コンサート中止、野球、相撲は無観客で実施と、子供は時間を持て余し、近くに祖父母でもいない限り1カ月は持たないだろう。学校に代わり学童に行かせる向きもあるが、狭い場所に多くが集まればかえって悪い。更には、全国一律で休校にする必要はない、まだ感染者が出てない所はもう少し様子を見てもいいはずだ、とか、そもそも休校という措置が、ウイルス封じ込めにどれだけ効果があるのか、との批判も聞かれる。これに対し、政府は、これはあくまで要請であり柔軟対応の余地はあるとしつつ、財政支援等により不利益は補填したいとの方針だ。

 こういう異論が各方面から上がるのは、この決定が極めて異例だったからだ。逆に言えばそれだけ、新型コロナウイルスの封じ込めにとり、この1、2週間が決定的に重要との判断があるからでもある。専門家は、この1、2週間が、日本がウイルスを制圧できるか否かの瀬戸際と言う。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

1953年生まれ。在スイス大使館公使、在フランクフルト総領事、在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、現在、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」(創成社)「スイスが問う明日の日本」(刀水書房)等。

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