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南スーダン野球団の練習に女子が。広がる女子ソフトへの夢(動画あり)

野球人、アフリカをゆく(24)セカンダリースクール野球セミナーの思わぬ効果

友成晋也 認定NPO法人アフリカ野球友の会 代表理事

拡大セミナーで初めて知る野球の話に聴き入る生徒たち。

<これまでのあらすじ>
かつてガーナ、タンザニアで野球の普及活動を経験した筆者が、危険地南スーダンに赴任した。首都ジュバ市内に、安全な場所を確保して、仕事の傍ら野球教室を始める。アメリカで高校野球を経験した南スーダン人ピーターがコーチとして加わり、徐々にレベルも向上。元難民でウガンダの教育を受けた野球経験者ウィリアムも加わり、チームの厚みも増した。初めての対外試合にも勝利し、チームはますます強くなるが…。

 「ミスター・トモナリ、準備ができたようですから、行きましょう」

 校長室の手前にある、ふだんは秘書がいる部屋で待っていた私を、全身ユニフォーム姿のピーターが満面の笑顔で促した。「オーケー、レッツゴー!」と元気よく立ち上がった私は、タンザニア時代に使ったナショナルチームのユニフォームの上だけを羽織っている。清掃が行き届いた学校の校舎の階段を上ってすぐの教室に2人で入ると、全身ユニフォーム姿のウィリアムがプロジェクター設置の準備を黙々と行っていた。

セカンダリースクールで野球セミナーを開催

 2019年9月13日金曜日。この日は、セカンダリースクール(日本における中学2年生から高校2年生に相当)における野球セミナー開催の日。以前、ピーターのお膳立てでジュバ教区モデルセカンダリースクールを訪問した際、夏季休暇明けにセミナーをやってはどうかと提案していただいた(第20話参照)。今日が待ちに待ったその日なのだ。

 セミナー開始時刻が近づき、生徒たちが次々と教室に入ってきた。半袖の白いシャツにストライプのネクタイを締めた制服姿の生徒たちが、肩を寄せ合ってギューギュー詰めで座っている。男子が多いが、女子も結構きているようだ。座席が足りず、教室の後ろには立ち見の生徒まで。70~80人くらいはいるだろうか。

 ガヤガヤした雰囲気のなか、私は少し大きい声で呼びかけた。

 「みんな、来てくれてありがとう。今から何が始まるか、知ってる?」。あちこちから「ベースボールセミナー」という声が上がる。

 「そう!ベースボールについて紹介するために我々はきたんだ。では、ベースボールを知っている人、手をあげて!」。案の上、手が上がらない。「では、ベースボールっていうスポーツの名前を聞いたことがあるという人は?」。ここで初めて手が上がるが、それでも3、4人だ。手を上げた生徒に、どこで知ったかを尋ねてみる。

 「テレビでみたことがある」という回答は想像通り。この学校は、クリスチャン系の有名進学校で、それなりに裕福な家庭の子も多いようだ。ピーターを見ると、「このまま始めましょう」と顔に書いてあった。

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筆者

友成晋也

友成晋也(ともなり・しんや) 認定NPO法人アフリカ野球友の会 代表理事

中学、高校、大学と野球一筋。慶應義塾大学卒業後、リクルートコスモス社勤務を経てJICA(独立行政法人国際協力機構)に転職。1996年からのJICAガーナ事務所在勤時代に、仕事の傍らガーナ野球代表チーム監督に就任し、オリンピックを目指す。帰国後、2003年にNPO法人アフリカ野球友の会を立ち上げ、以来17年にわたり野球を通じた国際交流、協力をアフリカ8か国で展開。2014年には、タンザニアで二度目の代表監督に就任。2018年からJICA南スーダン事務所に勤務の傍ら、青少年野球チームを立ち上げ、指導を行っている。著書に『アフリカと白球』(文芸社)。

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