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「ネバー・トランプ」を表明したエリートたちのその後

第1部「権力の掌握―ヘドロをかき出せ」(4)

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

「政治信条の異なる彼の政権に入ることはない」

 2016年大統領選中に公開書簡でトランプ氏を批判し、政権から排除されたネバー・トランプ・リパブリキャンズ(共和党系の非トランプ派)。

 その公開書簡を起草したジョン・ベリンジャー元NSC法律顧問は現在、首都ワシントンを拠点とする大手法律事務所「アーノルド&ポーター」に勤める。

 「あそこに見えるのが歴史的な建造物であるカーネギー図書館だ。今はアップルの資金支援で改装されて一部が店舗にもなっている」

 事務所内で取材に応じたベリンジャー氏は、ガラス張りの会議室で眼下に見えるワシントン市内の景色を紹介してくれた(ジョン・ベリンジャー氏へのインタビュー取材。2020年1月27日)。

拡大インタビュー取材に答えるジョン・ベリンジャー元NSC法律顧問=ランハム裕子撮影

 「今でもあの公開書簡で書いた通り、トランプ氏は大統領の資質を欠いていると思うか」と問われると、「もちろん、前以上にそう思う。あのときの公開書簡はトランプ氏を大統領候補として見ていたが、今あの書簡を読み返せば、一文一文が事実となっているか、書かれている以上に悪くなっている」と語った。

 ただ、148人にものぼるベリンジャー氏を始めとする共和党系の外交安保専門家が政権入りしなかったことが、現在のトランプ政権の官僚機構の脆弱性に影響しているのも事実である。国務省や国防総省を始め、政府の政治任用職は今でも空席が多く、政府高官の肩書には「代行」が目立つ。2016年大統領選中、共和党系の外交安保専門家たちがあえてトランプ氏を批判せず政権に入り、内部から改革するという選択もあったはずだという意見もある。

 しかし、ベリンジャー氏は「そうしたことをすれば、私はトランプ氏らの批判する『ディープステート』の一部になってしまう」と否定する。「ディープステート」とはトランプ支持者に広がっている陰謀論で、米国政治は「ディープステート」と呼ばれる「影の政府」に支配され、エスタブリッシュメントを壊そうとするトランプ氏を攻撃しているという考え方だ。

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筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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