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「トランプ批判」は共和党のタブーになった

第2部「共和党からトランプ党への変貌―支持率9割の熱狂」(1)

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

共和党、鉄の結束

 元連邦議会スタッフで米議会政治に詳しい米ブルッキングス研究所のマーガレット・テイラー研究員は「米下院が弾劾訴追の対象とした『権力乱用』と『議会妨害』はともに極めて深刻だ。トランプ大統領は訴追・罷免されなければならない」と語った(マーガレット・テイラー氏へのインタビュー取材。2019年12月16日)。

 テイラー氏は「権力乱用」については「個人の利益のために外国政府を使って米国内の選挙に介入させた行為であり、民主主義の観点から重大な問題をはらむ」と指摘する。また、「議会妨害」についても、「大統領が議会による弾劾調査を妨害して何ら罰せられないのであれば、大統領の権力が議会を完全に優越することになり、権力分立に基づくチェック&バランスが機能しなくなる」と問題視した。

 米国は、英国の圧制と戦って独立を勝ち取った歴史がある。このため、合衆国憲法では権力の一極集中を避けようと立法、行政、司法の三権分立を徹底し、互いに抑制し合う構造を作った。弾劾はこのチェック&バランスの考え方に基づき、立法府の議会が、行政官や裁判官の権力乱用をチェックする手続きである。

 合衆国憲法第2条第4節は「大統領、副大統領及び合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪その他の重罪または軽罪につき弾劾され、有罪判決を受けた時はその職を免ぜられる」と規定する。弾劾訴追の権限が下院、弾劾裁判を行うのが上院という役割分担も憲法で定められている。

 「ウクライナ疑惑」をめぐる12月18日の弾劾訴追では、ペロシ氏の演説を皮切りに、民主、共和両党議員たちがそれぞれ賛成、反対の立場から次々と登壇して討論し、午後八時過ぎ、決議案の採決が行われた。

 下院(定数435)で弾劾訴追を行うためには、過半数の賛成が必要である。「権力乱用」については、賛成230票、反対197票で可決された。「議会妨害」も賛成229票、反対198票で可決された。トランプ氏は第17代大統領アンドルー・ジョンソン、第42代大統領ビル・クリントンに続き、史上3人目の弾劾裁判にかけられる大統領となった。

拡大米議会上院がトランプ大統領に対する弾劾裁判を行う議会議事堂。連日夜遅くまで議論された=ワシントン、ランハム裕子撮影、2019年12月13日

 ただ、一連の弾劾訴追をめぐる審議で最も目立ったのが、与党・共和党議員たちがトランプ氏を全面的に擁護する主張を展開したことだった。

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筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

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