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トランプを支える「反リベラル」「反オバマ」の茶会運動

第2部「共和党からトランプ党への変貌―支持率9割の熱狂」(3)

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

トランプ大統領が政権幹部の首切り人事を断行し続けて政権基盤を固めることができたのは、共和党支持者たちの9割近くの圧倒的な支持があるからだ。政権発足当初はトランプ氏に批判的な態度を取っていた共和党主流派の議員たちも「共和党支持者=トランプ支持者」という状況のもと、トランプ支持へと雪崩を打ち、今ではトランプ批判は共和党議員たちにとって「タブー」となった。トランプ氏が共和党支持者から熱狂的な支持を受けるようになった背景を探る。

納税者のお金を奪うな

 トランプ氏の力の源は、熱狂的な支持者の存在がある。そこには、オバマ政権時代に生まれた草の根保守「ティーパーティー(茶会)運動」からの流れがある。

 政府の歳出削減を求め、「小さな政府」の実現を訴える茶会運動は、共和党内で最強硬派の立ち位置にあり、共和党主流派を「エスタブリッシュメント(既得権益層)」と敵視していた。

 茶会運動は2008年秋のリーマンショック後、オバマ政権の打ち出した巨額の公的資金注入による住宅救済策への反対運動が全国各地に広がったことをきっかけに組織化された。2010年の中間選挙で共和党が下院で過半数を奪う原動力となり、草の根保守運動としての存在感を見せつけることになる。

 ジェニファー・ステファノ氏は、茶会運動の指導者の一人で、有力な茶会運動団体「アメリカンズ・フォア・プロスペリティ」の副会長を務めた草の根政治活動家だ。

 ペンシルベニア州の自宅で取材を受けたステファノ氏は、今でも当時の熱狂ぶりは忘れないと語る(ジェニファー・ステファノ氏へのインタビュー取材。2019年11月27日)。

拡大ジェニファー・ステファノ氏

 2010年11月、首都ワシントン中心部の緑地帯ナショナルモール。全米各地から数千人が集まり、「小さな政府」の実現を求めて声を張り上げた。ステファノ氏はSNSを駆使してペンシルベニア州からの参加者を集め、30台近くのバスを手配して一緒にワシントンにやってきた。

 「我々には政府の企業救済に激しい怒りがあった。『企業の失敗は企業自身の問題だ。納税者のお金を奪うべきではない』と」。ステファノ氏はそう振り返る。

 ステファノ氏は「政府が存在する唯一の理由は、個人の権利を守るため」という政治信条をもつ。

 「個人の権利は神から与えられたものだ。もしあなたが無神論者であれば、その権利は生まれた時から持っている自然権ということもできる。政府は人々に権利を与える存在ではなく、権利を奪う存在なのだ。だからこそ暴政が起きないようにチェック&バランスの機能する政府だけが唯一の正当性をもつのだ」

 ステファノ氏の考えは当時の茶会運動の核心部分といえる。彼らにとってみれば、オバマ政権が打ち出した医療保険制度改革や大企業救済策は、政府を肥大化させ、政府の暴政を生み出しかねない。決して許すことのできない政策だった。

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筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

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