トランプが信奉する「民衆の大統領」
第2部「共和党からトランプ党への変貌―支持率9割の熱狂」(4)
園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員
トランプとジャクソンの相違点
「ワォ、何て素敵な訪問だろう。とても刺激的だ。私はファンだ。大ファンなんだ」
トランプ大統領はジャクソンの旧邸宅の正面玄関前に設けられた演壇に立ってこう語ると、笑顔を見せた。

米テネシー州ナッシュビルの歴史博物館「ハーミテージ」にあるジャクソン大統領の旧邸宅=園田耕司撮影
大統領就任から約2カ月後の2017年3月、トランプ氏は「ハーミテージ」を訪れ、ジャクソン生誕250周年を祝う式典に参加した。
トランプ氏にとってジャクソンは特別な大統領だ。就任直後に大統領執務室(オーバル・オフィス)にジャクソンの肖像画を掲げ、「民衆の大統領」と呼ばれるジャクソンを信奉する姿勢を示している。
トランプ氏はこの日の演説で、「ジャクソンは『農場主、農民、機械工、そして労働者は我が国の肉であり骨である』と語った。まさにその通りだ」と強調し、「我々は米国を再び偉大にする。そして我々の国のすべての市民に恩恵を行き渡らせる(The White House. “Remarks by the President on 250th Anniversary of the Birth of President Andrew Jackson.” 15 March 2017.)」と語り、大きな拍手を浴びた。
トランプ氏が自身と米国民に人気のあるジャクソンのイメージを重ね合わそうとしているのは間違いない。ただし、アンドリュー・ジャクソン財団のジョーンズ副会長は「ジャクソンとトランプ氏には大きな相違点がある」と語る。
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