高橋 浩祐(たかはし・こうすけ) 国際ジャーナリスト
英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」東京特派員。1993年3月慶応大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務める。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
日本の危機管理の甘さを問い直し、阻害要因について国民レベルで議論することが必要だ
新型コロナウイルスの感染が世界中に広がっている。収束の兆しは一向に見えていない。日本国内でも感染は拡大の一途で、7月下旬から始まる東京五輪開催も危ぶまれている。歴代最長の安倍晋三政権にこれまでで最も危機的な状況をもたらしている。
安倍政権の対応が後手に回るなか、国内感染者数と死者数は日に日に増え、感染者は920人を越え、死者も32人を数える(2020年3月19日午前時点)。クルーズ船の乗客乗員とチャーター便の帰国者を含めれば、感染者は1636人、死者は39人に及ぶ。クルーズ船の死者7人のうち、5人は70代と80代の日本人の高齢者だ。
「政治は結果がすべて」。安倍首相はこの言葉を好み、国会の内外でこれまでも何度も口にしてきた。今、この言葉が真綿で自らの首を絞めるかのごとく、安倍首相を追い込んでいる。
日本国民の多くは、忙しい毎日をまじめに働いて納税している。その見返りに、国家が本来、真っ先に何よりもやらなければならない役目は、国民の生命と財産を守ることのはずだ。
にもかかわらず、なぜここまで新型コロナの被害は拡大してしまったのか。