伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業
愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『韓国カルチャー──隣人の素顔と現在』(集英社新書)、『韓国 現地からの報告──セウォル号事件から文在寅政権まで』(ちくま新書)など、訳書に『搾取都市、ソウル──韓国最底辺住宅街の人びと』(イ・ヘミ著、筑摩書房)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
それに比べると、同じ頃の日本はなんだか不思議だった。市民生活はまだ平穏だったが、横浜港に停泊中の大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号内では「異変」が起きていた。感染者数が日々増え続けていると報道される中、諸外国はチャーター機の派遣を検討。前出の産経新聞記事が掲載された2月17日には、米国のチャーター機がクルーズ船の自国民を乗せて羽田空港を飛び立った。この日の記事を調べたところ、「新たに99人の感染が確認、船内の感染者の総数は454人」とあった。
「船の中で何が起こっているのだろう?」
翌18日には神戸大学の岩田健太郎教授が、船内を映した動画を公開した(のちに削除)。それに対して橋本岳厚生労働副大臣がツイッターで写真入りの反論(のちに削除)。一般国民にとっては「なんだかわからない状態」が続いていた。ワイドショー等では連日、医師や専門家が出てきて解説をしていたが、その人たちの言うことも放送局によってまちまちだったりした。
ともかく透明性に関しては、韓国政府の方が意識的だった。この頃から私の日課は、
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