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安倍首相が語った「コロナのピークを遅らせる」と「五輪開催」の政策矛盾

検査数はなぜ抑制されているのか。そこを深掘りすると安倍内閣の末期症状が見えてくる

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

政策の矛盾に気づかない安倍官邸

 私は、記者会見で自ら発言しながら、その矛盾に気がつかなかった安倍首相に問題があることには同意するが、実は安倍政権が現在抱える問題はもっと深刻だと考える。

 安倍首相が矛盾した発言をしただけではない。つまり、政策自体が矛盾していることに安倍首相以下、官邸の住人たちは誰も気がついていないのだ。冷静になれば誰もが気づく政策矛盾を認識できないため、整合性を取るための調整にさえ動いていない。

 原稿の冒頭に「末期症状」と記したが、このまま安倍政権の矛盾政策が進めば、戦前の陸軍、海軍の矛盾だらけの政策が国民的破局を招いたように、大きい混乱と破綻が国民の前に現出する恐れがある。

 私は、安倍首相の矛盾発言を突くツイートをした後、その2日前に取材で訪ねた上昌広・医療ガバナンス研究所理事長に連絡を取った。

 なぜ大きい政策矛盾にも気がつかないような「末期症状」が現れたのか。取材を土台に私が立てた仮説について、上理事長の意見を聞いてみたかったのだ。

 私の仮説に上理事長も完全に同意してくれた。その仮説とはどういうものだろうか。それを紹介する前に、仮説の土台となった上理事長の解説を見てみよう。

 3月14日の記者会見では、安倍首相はこんなことを言っていた。

 現時点において感染者の数はなお、増加傾向にあります。しかし、急激なペースで感染者が増加している諸外国と比べてわが国では増加のスピードを抑えられている。
 人口1万人当たりの感染者数を比べるとわが国は、0.06人にとどまっており、韓国、中国のほかイタリアをはじめ、欧州では13カ国、イランなど中東3カ国よりも少ないレベルに抑えることができています。

 さらに厚生労働省の発表によると、日本と韓国の感染者数は次の通りだ。3月14日正午の時点で、韓国が8086人なのに対して、日本はクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号を含めて1396人。あたかも、日本は韓国をはじめとする世界各国と比べてコロナウイルス封じ込めに格段の成功を収めているかのごとくだ。

 しかし、世界の専門家は決してそのようには見ていない。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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