岸本周平(きしもと・しゅうへい) 国民民主党衆院議員
1956年7月12日和歌山市生まれ。広瀬小学校、城東中学校、桐蔭高等学校、東京大学法学部卒業。1980年大蔵省入省、プリンストン大学客員講師、経済産業省課長、財務省課長、トヨタ自動車(株)渉外部部長、経済産業大臣政務官、内閣府大臣政務官などを歴任。2009年より和歌山1区で小選挙区4期連続当選
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
通常のマクロ経済政策も金融緩和政策も効き目なし。景気対策を超える発想が不可欠
新型コロナウイルス感染症が世界保健機関(WHO)によりパンデミックと宣言され、株式市場の乱高下にみられるように世界経済は大きな混乱に陥っています。人や物の移動が制限されたため実物経済が停滞は必至で、日本でもリーマンショックや東日本大震災を超える経済危機が予想されます。
政府は、イベント自粛や小中学校の一斉休校要請などによって悪影響を受ける中小零細企業や個人事業主等に対して、休業補償や資金繰り支援を打ち上げていますが、必要な政策を適切に実施するために冷静な判断が求められます。
新型コロナ感染症による経済的な停滞には、通常のマクロ経済政策は役に立ちそうにありません。中国経済に過度に依存していた結果、サプライチェーンが断絶したことや、人々の移動の制限やイベント自粛による経済の落ち込みにも特効薬はありません。
さらに、これまで各国の市場では、中央銀行による超金融緩和政策の結果、バブルが生じており、さらなる金融緩和で対処しようにも限度があります。実際のところ、3月15日の米連邦準備理事会(FRB)や16日の日本銀行の緊急対策は市場から「NO」を突き付けられました。
とすれば、いま必要なのは、いわゆる景気対策という発想ではありません。社会的弱者の生活と命を守ることを最優先に考えるべきです。そのうえで、国民心理の安定化を図るために、大規模な緊急経済対策を立案しなければなりません。
国民民主党はいま、①10兆円の家計減税、②10兆円の給付措置、③損失に対する10兆円の経済補償――を柱に、緊急経済対策の党内議論を進めています。もちろん、中小零細企業や個人事業者のための資金繰り支援、支払い猶予(モラトリアム)はその大前提となります。
アベノミクスのもと、実質賃金の低下とともに、将来の社会保障への不安から個人消費は低迷してきました。新型コロナウイルスの感染拡大で「消費マインド」はさらに冷え込むでしょう。しかし、前述したように、現下の危機的状況に求められるのは、消費の喚起ではなく、目に見えて少なくなる家計収入をいかに補い、貧困化から救うかです。
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