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新型コロナがパンデミック。WHOは今こそエりをただせ!

科学的判断より対中国の政治的判断を優先?初動の非を率直に認めてこそ活路が

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

根が深いテドロス氏と中国との関係

 2月2日にたまたまテレビに出演していた私は、「緊急事態法案は1週間遅い。感染拡大を阻止するには、後手の対応が続くWHOの体制を変える必要がある」と発言した。私がそう受け止めたのは、かねてからWHO、そしてテドロス氏と中国との“癒着関係”を注視してきたからである。

 昨年6月、中国は国連食糧農業機関(FAO)の事務局長を獲得した。同じく国連の機関であるWHOは2016年に中国の主導で、有数の“親中国”であるエチオピアで外相を経験したテドロス氏を事務局長に据えた。事務局長はこの機関の事実上のトップであり、代表だ。

拡大世界保健機関(WHO)が中国へ派遣した専門家調査団の代表ブルース・エイルワード氏。図表を示しながら、記者会見で中国での活動について語った=2020年2月25日、スイス・ジュネーブのWHO本部、吉武祐撮影
 今回の新型コロナウイルスの発生源は中国であろう。世界のほとんどの国、ほとんどの人がそう思っている。それを科学的根拠を示して覆すことができない限り、厳粛な事実として歴史に記される。

 SARS(重症急性呼吸器症候群)の例を挙げるまでもなく、この種の疾病があると、まず中国に目が注がれる。だから、WHOの動きが政治的に見えると、まず中国が不信感を持たれる。本来、WHOは「科学的知見」によって運営されるべき非政治的な機関のはずだ。政治色は徹底して払拭(ふっしょく)されなければならない。

習近平主席の事情がWHOの対応を遅らせた?

 メディアの報道(「中国、WHOに21億円寄付 新型コロナ対策で『お返し』?」時事ドットコム3月9日)によると、「中国の陳旭駐ジュネーブ国際機関代表部大使はこのほど(7日)、WHOのテドロス事務局長と会談し、中国政府がWHOに2000万ドル(約21億円)を寄付することを決めた」という。

 国際社会は、この時期の寄付は、新型コロナウイルスへの中国の対応に関係しているとみる。テドロス事務局長が「中国は時宜にかなった有力な措置を講じている」などと、不自然なほど大仰な賛辞を繰り返すことへの“お返し”という見立てである。

 確かにこの間の中国とWHOとの関係はどうみても不自然だ。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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