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リベラル派ソロスと右派コークが共同出資する「クインシー研究所」

第3部「カム・ホーム・アメリカ―新たな孤立主義の台頭」(3)

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

「我々は平和主義者ではない」

 ベイスビッチ氏自身、米軍兵士の遺族でもある。27歳の息子は2007年、イラク中部のバラドでパトロール中、爆弾の爆発に巻き込まれて死亡している。

 QIは9.11以降の一連の対テロ戦争の終結を掲げるが、ベイスビッチ氏は「我々は平和主義者ではない」とも語る。

 「我々は強い軍隊をもつことに反対していないし、米国を武装解除させるつもりもない。ただし、米国の政策決定者は米国の軍事力をもっと慎重に行使するべきだと考えている」

 ワシントンの主流派のシンクタンクは国際主義の立場から米軍の前方展開戦略に肯定的な意見が多く、他国への非介入主義を前面に訴えるQIは異色の存在だ。QIを孤立主義のグループとみなして警戒する向きは強い。

 しかし、ベイスビッチ氏は「QIは孤立主義と批判されるが、完全な間違いだ」と反論する。

 「我々は米国の国際的な関与を支持している。ただし、永続的な戦争を行うのではなく、平和構築における関与だ」

 QIが注目を集めているのは、ワシントンの主流派とは一線を画す主張に加え、左右両陣営の後ろ盾ともいえる大富豪が資金提供していることがある。

 ジョージ・ソロス氏は民主党に多額の献金をするリベラル派である一方、チャールズ・コーク氏は共和党や保守強硬派「ティーパーティー(茶会)運動」を支援するリバタリアン(自由至上主義者)である。

 米メディアによれば、両氏はQIの立ち上げに計100万ドル(約1億1千万円)を寄付したという(Piper, Kelsey. “George Soros and Charles Koch team up for a common cause: an end to ‘endless war.’” VOX 1 July 2019.)

 政治理念の異なる両氏が一致して非介入主義のQIを支援したことに、ワシントンでは衝撃が走った。

拡大トランプ氏について意見を述べる米著名投資家ジョージ・ソロス氏=2017年1月20日、スイス・ダボス

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筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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