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アフリカ野球友の会17年目の解散。新たな道へ

野球人、アフリカをゆく(25)旧友に明かした心の内と次なる決意

友成晋也 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構 代表理事

拡大2013年に10周年を迎えたアフリカ野球友の会は、記念シンポジウムを開催した。左から、伊藤聡子さん(MC)、石毛宏典さん(元西武ライオンズ)、宇津木妙子さん(元全日本女子ソフトボール監督)、右端に筆者。

<これまでのあらすじ>
かつてガーナ、タンザニアで野球の普及活動を経験した筆者が、危険地南スーダンに赴任し、ここでも野球を立ち上げ、大盛況。女子ソフトボールの発足も視野に入るなど順風満帆。この通算25年にわたるアフリカにおける野球の活動を支えてきたのは、17年前に仲間と立ち上げた「アフリカ野球友の会」だった。 しかし…。

 「友ちゃん、こっちこっち!」

 2019年11月、文化の日。JR吉祥寺駅の改札を出ると、すぐに低音でややハスキーな声が耳に入ってきた。

 「おっ!いちょた!早いな!」。黒いタートルネックにグレーのジャケット姿で片手をあげている『いちょた』こと井下良昭とは、南スーダン赴任前に湘南の友人宅で会って以来、1年3ケ月ぶりの再会だ。

晩秋の東京、旧友と入ったカフェで

 晩秋の東京のひんやりした空気の中、午前10時だけに比較的まばらな人ごみを、井下と肩を並べて歩き始めた。気温40度近い南スーダンから休暇で一時帰国した私にとっては、冷蔵庫の中にいるような感覚の寒さに、思わずポケットに手を突っ込んでしまう。

 「まさか今日はグローブもってきてないよね」と突然訊ねてくる井下に「野球はもうシーズンオフだからな。って、そもそも同窓会に参加するのに、グローブもってくるわけないっしょ!」と突っ込む。

 「いや、友ちゃんならやりかねないと思ってさ」と人懐っこい笑顔を見せながら、井下の目はやや遠くを見つめていた。

  「あ、あそこにカフェがあるな」

 「同窓会会場に近くていいね。そこにしよう」

 2人して入ったカフェは、ほとんど人が座っておらず、一番端のスペースのゆとりのある席を選んで腰を下ろした。

 コーヒーのオーダーを終えるや否や、「で、南スーダン野球はどうよ?」とザクっと訊いてくる井下。中学時代の同窓会は12時から受け付け開始だ。2時間も前に落ち合ったのは、懐かしい旧友たちがたくさん集う同窓会ではサシでじっくり話す時間が取れないと思われたからだ。


筆者

友成晋也

友成晋也(ともなり・しんや) 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構 代表理事

中学、高校、大学と野球一筋。慶應義塾大学卒業後、リクルートコスモス社勤務を経てJICA(独立行政法人国際協力機構)に転職。1996年からのJICAガーナ事務所在勤時代に、仕事の傍らガーナ野球代表チーム監督に就任し、オリンピックを目指す。帰国後、2003年にNPO法人アフリカ野球友の会を立ち上げ、以来17年にわたり野球を通じた国際交流、協力をアフリカ8カ国で展開。2014年には、タンザニアで二度目の代表監督に就任。2018年からJICA南スーダン事務所に勤務の傍ら、青少年野球チームを立ち上げ、指導を行っている。著書に『アフリカと白球』(文芸社)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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