メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「もっとカネを出せ」同盟国に用心棒代を迫るトランプ

第4部「揺らぐ同盟―究極の取引至上主義」(3)

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

「もっとカネを出せ」

 トランプ氏は一方で、米国の競争国であるロシアや中国を始め、北朝鮮といった独裁・専制的な指導者と会えば、「我々はとても良い関係だ」と持ち上げる。

 トランプ氏は、1980年代の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のいじめっ子ビフのモデルとして知られている。トランプ氏は政敵にあだ名をつけて攻撃するのは得意であり、移民ら社会的な弱者にも容赦のない発言を繰り返す。「同盟国たたき」もガキ大将が子分たちに「だれがおまえたちを守っているのか。もっとカネを出せ」と用心棒代を迫っているようにみえる。

 G・W・ブッシュ政権で国務副長官だったリチャード・アーミテージ氏は「米軍兵士は、アメリカ独立戦争時のヘシアン(英国軍に従軍したドイツ人傭兵)ではない。彼らはそのように扱われることを望んでいない」と語り、トランプ氏の同盟国に対する態度を嘆いた(リチャード・アーミテージ氏へのインタビュー取材。2019年10月22日)。

拡大ホワイトハウスで行われたイタリア大統領との共同会見で、記者からの質問に答えるトランプ大統領=ワシントン、ランハム裕子撮影、2019年10月16日

 米国の覇権は、世界展開する米国の軍事力と密接に結びついている。米国の軍事力は時に中国やロシアといった競争国よりも、同盟国に対してよりレバレッジ(テコの原理)が効くことがある。同盟国は米国の軍事力に深く依存しているため、米国が自国の防衛に疑念を示すような言動をとれば、米国の要求にひざを屈せざるをえない。つまり、同盟国との間でひとたび貿易紛争が起きれば、米国は構造的に強い立場にある。

 ディールを得意だと考えるトランプ氏は、この米国と同盟国との力学関係をよく理解しているとみられる。

 ただし、元ホワイトハウス当局者は「歴代米政権は安全保障と貿易問題を表立って結びつけることをタブー視してきた」と語る。米国が身内であるはずの同盟国に軍事力を絡めた圧力を露骨にかければ、同盟国側から米国に対する不信が生まれ、同盟関係そのものが弱体化する恐れがあるからだ。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

園田耕司の記事

もっと見る