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新型コロナウイルス。アフリカの現状と感染拡大リスク

スーダン、ザンビアを中心に予防対策、感染リスクなどを考察する

川原尚行 認定NPO法人ロシナンテス理事長

スーダンの現状

水際作戦を段階的に強化

 当初の水際作戦は、空港で入国する際に係員がアルコールを用意し手洗いをさせることと、主に中国からの入国者に注意していました。2003年のSARS対策の際、中国人に対して厳しい入国措置をした経験を準用しているかのようでした。

 1月には、中国からの帰国者2人を、感染の疑いがあるとして2週間隔離(かくり)しましたが、陽性は確認されませんでした。2月にWHOスーダン事務所長が、「ようやくスーダンで新型コロナウイルスの診断のためのPCR検査ができるようになった」と話していましたので、確定診断ができるようになったのは2月以降のことでしょう。

 2月27日には、中国、韓国、イラン、そして日本からの入国者を対象に、調査フォームに必要事項を記入後、体温を測定。発熱を認めれば医療機関での検査、発熱がなければ2週間に渡って保健省に電話をかけて健康状態を報告するという行動規制になり、水際作戦が強化されました。

 3月12日、上記4カ国に加え、イタリア、フランス、スペイン、そしてエジプトから来る人に対して、査証発給を停止する旨の発表があり、すでに査証発給を受けている方についても、対象国からの入国を停止する措置を取る意向が示されました。

3月中旬に初の感染例。国家非常事態宣言を発出

拡大tools12/shutterstock.com

 同日、スーダンで初めての新型コロナウイルス感染例が認められました。感染したのは50代の男性で、3月初旬にアラブ首長国連邦(UAE)に渡航、帰国後体調を崩して入院。肺炎を併発しており、死亡しました。死亡後の検査にて、新型コロナウイルス陽性が判明しました。患者が帰国後、立ち寄った場所、濃厚接触者を洗い出して隔離するというような対策が行われ、現在まで他の感染例は認められていません。

 スーダンは中国とは大変深い関係にあり、中国からの感染が懸念されていました。実際、武漢には140人を超えるスーダン人留学生がおり、アラブ首長国連邦(UAE)の助力により、身動きのできなくなった彼らをUAEで隔離して、経過観察をしている最中です。スーダンの学校を集団的に隔離するための施設として使う案もあったようですが、受け入れが困難と判断され、UAEで数週間隔離することになったようです。スーダン最初の感染例がUAEからの帰国者というのも、なんとも皮肉な話です。

 対策がさらに強化され、14日には学校の閉鎖が発表され、宗教省はモスクや教会での集会時間の短縮を訴えました。16日に国家非常事態宣言が出され、空路、海路、陸路のいずれも、貨物を除き国境を封鎖する旨が発表されました。その後、3月19日夜から21日夜にかけて、48時間のみ空港を開けて海外にいるスーダン人の受け入れ、スーダンに滞在する出国希望の外国人のための措置を行いました。

 3月23日現在、スーダンは外国国籍の国連職員の感染が確認され、感染者数は2人となっています。

ザンビアの現状

 ザンビアでは、入国者に対して入国時に問診票の記入および検温などのスクリーニングが実施され、発熱がある場合は医師の診断を受け、必要とあれば指定の施設で隔離されるという対策を取っています。

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筆者

川原尚行

川原尚行(かわはら・なおゆき) 認定NPO法人ロシナンテス理事長

1965年生まれ。1992年九州大学医学部を卒業後、九州大学第二外科(現:消化器・総合外科)に入局し同外科および広島赤十字・原爆病院で研修を行う。九州大学大学院修了ののち、1998年外務省入省。在タンザニア日本大使館に二等書記官兼医務官として着任。その後ロンドン大学(イギリス)で熱帯医学を履修し、2002年在スーダン日本大使館に一等書記官兼医務官として着任。2005年1月、外務省を辞職し同年4月よりスーダン国内での医療活動を開始。翌2006年5月、北九州市に「NPO法人ロシナンテス」を設立。同年8月スーダン共和国政府より国際NGOとして正式に登録される。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです