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新型コロナ世界的流行でもIOCが東京五輪を中止できない三つの理由

結局、延期しかない東京五輪・パラリンピック。いつまで延期するかが焦点

鈴村裕輔 名城大学外国語学部准教授

金銭的な損失は補償されるのか?

 次に考慮すべきは、中止となった場合、金銭的な損失を誰が補償するのか、という問題だ。

 この点についても、IOCは対応をとっている。IOCの年次報告書によれば、2016年のリオ大会では、約1440万ドルを、2018年の平昌大会では1280万ドルを、中止に備えた補償の保険料として支払っている。東京大会についても、新型コロナウイルスの感染の拡大により実施が危ぶまれる状況の中で、IOCが保険料の掛け金を2000万ドルに引き上げた可能性が指摘されている。

 保険料の掛け金の引き上げについて、IOCのトーマス・バッハ会長は「理事会では協議していない」と発言したものの、引き上げそのものは否定していないため、相応の対応が取られていることが考えられる。

 さらに、英国BBCの報道によると、IOCは入場券販売が目標額を下回った際に差額を補うためにかける通常の保険のほかに、スポンサー料や放映権収入を補填する保険も契約している可能性があるという。つまり、IOCは大会が中止となった場合に備えて、幾重にも安全策を講じていることになる。

 大会組織委員会については、開催都市契約第66条で、オリンピックが中止となった場合の補償や損害賠償を請求する権利を放棄し、第三者から請求や訴訟などに応じる旨が明記されている。

 この条文のみを見れば、大会の中止により、組織委員会の負担が大きくなることが予想されるが、大会組織委員会は「本大会の計画、組織、財務、運営にかかわるすべてのリスクを補償対象とする適切な保険を、自己負担で確保し維持するものとする」という開催都市契約第60条の規定に基づいて所定の保険に加入している。

 大会組織委員会が公表した平成30年度の貸借対照表をみると、

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筆者

鈴村裕輔

鈴村裕輔(すずむら・ゆうすけ) 名城大学外国語学部准教授

1976年、東京生まれ。名城大学外国語学部准教授、法政大学国際日本学研究所客員所員。法政大学大学院国際日本学インスティテュート政治学研究科政治学専攻博士課程修了・博士(学術)。専門は比較文化。主著に『メジャーリーガーが使いきれないほどの給料をもらえるのはなぜか?』(アスペクト 2008年)、『MLBが付けた日本人選手の値段』(講談社 2005年)がある。日刊ゲンダイで「メジャーリーグ通信」、大修館書店発行『体育科教育』で「スポーツの今を知るために」を連載中。野球文化學會会長、アメリカ野球愛好会副代表、アメリカ野球学会会員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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