牧野愛博(まきの・よしひろ) 朝日新聞記者(朝鮮半島・日米関係担当)
1965年生まれ。早稲田大学法学部卒。大阪商船三井船舶(現・商船三井)勤務を経て1991年、朝日新聞入社。瀬戸通信局、政治部、販売局、機動特派員兼国際報道部次長、全米民主主義基金(NED)客員研究員、ソウル支局長などを経験。著書に「絶望の韓国」(文春新書)、「金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日」(講談社+α新書)、「ルポ金正恩とトランプ」(朝日新聞出版)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
韓国外交省が3月に公表した外交文書から、平成が始まった直後の1989年(平成元年)4月に開かれた日韓外相会談での「天皇訪韓」を巡るやり取りが明らかになった。
当時の日本政府関係者によれば、日本政府の一部にも天皇訪韓について検討すべきだという声は上がっていたが、韓国内にある反日感情などもあり、実現することはなかった。
元駐韓公使の町田貢氏によれば、韓国は盧泰愚政権以降、政権が代わるたびに、何度も与党の有力政治家などが非公式の外交ルートで、天皇訪韓の相談を持ちかけてきた。町田氏は韓国側の思惑を「歴史認識問題に区切りをつけた政権として評価されたいという野心があった」とみる。
盧泰愚政権の場合、1989年2月の大喪の礼が終わった直後、政権中枢の側近から「天皇訪韓を実現できないだろうか」という相談を受けたという。89年4月の日韓外相会談の際、宇野宗佑外相が天皇訪韓に触れたが、町田氏は「親韓派だった宇野外相が韓国側の天皇訪韓待望論に配慮した発言だろう」と語る。
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