メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

無料

「怒り」を訴えたれいわ・木村英子参院議員は何を伝えたかったのか(上)

コロナ対策協議会に参加できず、こぼれ落ちる「当事者」の声

松下秀雄 「論座」編集長

政策を話す場に、当事者が入れない

 ――木村さんは会見で、協議会への参加を認めないのは「障がい者差別にあたるのかなと感じた」と言っていました。命にかかわる問題なのに、当事者の声を聞かないのは、障害のある人の命を軽んじているということですか?

 そういうことだけではなく、たとえば地域の障害福祉計画とか、障がい者の政策が話される場所に、なかなか当事者を入れてもらえない現状があります。健常者や専門家だけで会議を開くことによって、「どうしてもこの政策、このケアが必要なんだ」という当事者の声が反映されず、自分が受けたら困るような政策になることもある。障がい者が差別されることなく、自分の意見を言える場所が保障されていないのです。

 障害のある人たちは、日々の生活でも、自分たちに関する政策についても、「健常者」が決めたことを受け入れるしかない状況にしばしば追い込まれる。このため、「私たち抜きに、私たちのことを決めないで」を合言葉に、障がい者運動を繰り広げてきた。

 私を推してくれた方に申し訳ないという思いもありました。私も立候補する時、自分の体のことを考えて、命を覚悟していたところがある。でもそこには「やっと当事者が国会に入った。やっと自分たちの声を伝えることができるんだ」と思った大勢の支援者の人たちの気持ちがあったので、私はその代表として言わなければならないという気持ちがすごくありました。私がというより、私をふくめて多くの障がい者の人たちの伝えたいものを拒絶されたような気がしたので、「差別を感じた」という表現になったんだと思います。

 今回のコロナの件もそうですけど、一つひとつ壁が立ちはだかっていく、配慮や優しさを感じられない社会は悲しいなと思いますね。私たちは、小さい差別から大きいところまで、日常的に差別にさらされて生きているので。私が議員になったのは、差別されたくない、差別を一つひとつ解消していきたいという理由でなったこともありますから。

臨時国会開会を前に、れいわ新選組の木村英子さん、舩後靖彦さんの議席に押しボタンを移設する工事が進められた=2019年9月20日午前10時19分拡大臨時国会開会を前に、れいわ新選組の木村英子さん、舩後靖彦さんの議席に押しボタンを移設する工事が進められた=2019年9月20日午前10時19分

 ――差別する側には、差別しているという認識もないのかもしれませんね。私自身もそうですが、障害のある方とあまり接してこなかったので、こう言ったらどう感じるのかとか、肌感覚でわからない。

 障害のある人とない人が分けられていることは大きな問題です。健常者だったら拒絶されないけれど、障害があるというだけで、だめだと言われることがたくさんある。ふつうに遊びにいきたいのに、新幹線に乗れなかったり、お店に入店を拒否されたり。楽しい思いをするために行っているのに、すごく不快な思い、悲しい思いをさせられて帰ってくることは日々あるので。楽しいと思える日常であってほしい。それだけですね。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

松下秀雄

松下秀雄(まつした・ひでお) 「論座」編集長

1964年、大阪生まれ。89年、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸、与党、野党、外務省、財務省などを担当し、デスクや論説委員、編集委員を経て、2020年4月から言論サイト「論座」副編集長、10月から編集長。女性や若者、様々なマイノリティーの政治参加や、憲法、憲法改正国民投票などに関心をもち、取材・執筆している。

松下秀雄の記事

もっと見る