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コロナ対策 「オンライン授業」はあだ花だ

塩原俊彦 高知大学准教授

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、大学での授業も延期されることになるのだろうか。多少なりとも、「オンライン診療」とか「電子請願」や「電子投票」などについて一家言を弄してきた筆者として、大学での「オンライン授業」にまつわる所見を紹介することにしよう。

遠隔授業の活用

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 文部科学省は3月24日付で「令和2年度における大学等の授業の開始等について」なる通知を出した。その3項目目に「遠隔授業の活用について」があり、「テレビ会議システム等を利用した同時双方向型の遠隔授業や、オンライン教材を用いたオンデマンド型の遠隔授業を自宅等にいる学生に対して行うことは可能」としている。「オンライン授業」と言う場合、この二つの形式を含めたものを意味しているとここではみなしたい。

 テレビ会議システムとして広範囲に利用されているのがズーム(Zoom)やFaceTimeである。Google Hangouts Meet といった会議システムもある。たとえばハーバード大学では、ズームが広範に利用されている。

 オンライン教材を利用したオンデマンド型授業では、スライド資料や講義形式の動画などを教材として学生に自宅を含むどこからでもアクセスさせて、課題提出や質問受付、学生間の意見交換などを、インターネットを通じて行う。2008年ころに米国でスタートし、世界中に広がっている「大規模公開オンライン講座」(Massive Open Online Courses, MOOC[ムーク])と呼ばれるプラットフォームがあり、これを使って日本の一部の大学でもオンデマンド授業が行われている。

画一性への違和感

 単に、授業を延期するのではなく、何か代替策を講じろというのであれば、授業に代わる何ごとかをしなければならない。

 しかし大学の授業といっても、一般教養のようなものを教える「一般教育科目」の授業もあれば、「専門教育科目」なる専門性の高い授業もある。それだけではない。教育内容が自然科学に属するのか、社会科学や人文科学に属しているかなどによっても授業のやり方も異なるだろう。

 したがって、COVID-19対策で、対面式の授業ができなくなる場合でも、授業の代替方式は個別に判断すべきものであって画一的に押しつけるべきものではない。

 受講生の人数によるが、100人を超えるような授業の場合、筆者は受講生を指して質問することはしない。ただ、ときどきホワイトボードを使いながら、解説めいた話をするだけだ。こうした授業であれば、リアルタイムのテレビ会議授業などでなくても、ビデオで授業を録画し、学生の都合のいいときに観てもらえばそれで十分ではないかと思う。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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