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「マスク2枚の真相」炎上と「官僚神話」の崩壊

「一生懸命」という評価軸から脱皮しないと、未知の危機を回避することはできない

井戸まさえ ジャーナリスト、元衆議院議員

 安倍総理大臣は4月7日にも、新型コロナウイルスに対し緊急事態宣言を発出する。背景には東京都内の感染者は累計1000人を超え、小池百合子知事は「リンクが追えない数が増えているのが大きなポイント。(感染拡大は)新たな段階に入った」との認識を示し、国の判断を求めたこともあるだろう。

 こうした中で、エイプリールフールに発表された「マスク2枚」政策に対する国民の批判が収まらない。さらにこの週末、政策立案者の官僚がSNSで投稿した一本の記事が炎上している。

匿名で政策推進をする官僚の自己主張

 炎上元となったのは経済産業省に所属する浅野大介氏が自らのFBで「シェアしてほしい話」とした投稿である。

拡大浅野氏のfacebookから
マスク2枚の真相[シェアしてほしい話]
エラくバカにされているこの話。政府マスクチームで関与した身としては、企画の「真意が伝わらなさすぎて残念なので、ちょっと説明します。(広報がマズすぎて凹む)。
なぜこんなことを企画したか?
 
・飛沫感染防止のため、マスクはしてもらいたい
・しかし、「不織布の使い捨てマスク」(医療用サージカルマスクも一般用マスクも、実は中身は同じ)には生産能力限界がある
・だから、使い捨てマスクは医療機関に優先的に回したい。そのため、僕ら国民一般は、繰り返し洗濯できる「布マスク」か「自作マスク」あたりで凌ぎたい
・ただ、この昔懐かしの「布マスク」など今時作ってない。政府が買い上げる約束でもしなけりゃ、メーカーは怖くて何億枚も作らない。だから政府買い上げの形で発注する必要があった(200億払う理由はここ)
・また、配布の時に行列ができて感染クラスターをつくる恐れがあるから、日本郵便の全戸無差別配達サービスでやるしかない(輸送費をかける理由はここ)
・なお、平均世帯人数は約2人。ここの世帯人数に合わせて丁寧になど配れないし、まずは2枚配るのが精一杯だから、まず2枚。
 
もちろん、
「オレは要らない」って人もいるでしょう。
そういう方も、ひとしきり文句垂れていただいた後は、
「2枚では足りない、もう一枚欲しい世帯」に隣近所で融通するとか、そういう地域市民社会の機能回復にぜひつとめていただけましたら、、、日本の社会ってそういうの苦手じゃないはずだとおもってますんで。


筆者

井戸まさえ

井戸まさえ(いど・まさえ) ジャーナリスト、元衆議院議員

1965年宮城県生まれ。ジャーナリスト。東京女子大学大学院博士後期課程在籍。 東洋経済新報社勤務を経て2005年より兵庫県議会議員。2009年、民主党から衆議院議員に初当選(当選1回)。著書に『無戸籍の日本人』『日本の無戸籍者』『 ドキュメント 候補者たちの闘争』、佐藤優との共著『不安な未来を生き抜く最強の子育て』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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