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新型コロナ対策でアフリカ支援 日本政府は確実に進めよ

東京五輪・パラリンピックの「完全な形」での開催の鍵はアフリカの存在

鈴村裕輔 名城大学外国語学部准教授

 エボラ出血熱の再燃が示したアフリカの窮状

 一方、2018年8月にコンゴ民主共和国で流行が宣言されたエボラ出血熱の集団感染は、アフリカにおける感染症の封じ込めの難しさを、あらためて顕在化させた。

 すなわち、①国家間、あるいは国内での紛争が絶えず発生して医療制度の確立が不十分であること②電気や水道といった社会基盤も整備の途上――であることなどが、エボラ出血熱の封じ込めの障害となった。

 流行の宣言から1年間で1800人を超す死者が出たこのエボラ出血熱感染は、発生源がコンゴ民主共和国北東部の紛争地域であったため、各国が協力して封じ込めを行おうとしても、思うように進まないという現実があった。結果的に、患者の7割に最新の医薬品や医療技術が届かず、封じ込めに時間を要することとなったのである。

 「密閉」「密集」「密接」の「三密」を避けることが重視される新型コロナウイルスの場合、都市部に人口が密集するわりに、水道施設が脆弱であったり、電力供給が不安定であったりする実情を考えると、アフリカ諸国の都市部、とりわけ貧困層が集住する地域で感染が始まると、集団感染が一気に広がる可能性が高まる。

 さらに、紛争によって郷里や故国を逃れざるを得なかった難民が集まる難民キャンプも、医療の限界があるだけに、今後新型コロナウイルスの感染の拡大が懸念される。

 新型コロナウイルスの感染者増加で、多くの人的、物的、金銭的な資源が感染症対策に振り向けられ、それ以外の疾病などに医療を提供できなくなる事態は、世界各国が直面しつつある深刻な課題である。それぞれの国が自国の対応を優先せざるを得ない状況では、医師や医療器具、あるいは医療物資をアフリカ諸国に提供する余地は小さい。

 以上のような状況は、エボラ出血熱をなんとか終息させたアフリカ諸国にとって、次なる難敵となるであろう新型コロナウイルスへの対策が容易ではないことを、如実に物語っていると言えよう。

拡大Satoer Design/shutterstock.com

アフリカ諸国への支援に積極的な中国

 こうしたなかで、積極的にアフリカへの支援を行っている国がある。それは中国である。

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筆者

鈴村裕輔

鈴村裕輔(すずむら・ゆうすけ) 名城大学外国語学部准教授

1976年、東京生まれ。名城大学外国語学部准教授、法政大学国際日本学研究所客員所員。法政大学大学院国際日本学インスティテュート政治学研究科政治学専攻博士課程修了・博士(学術)。専門は比較文化。主著に『メジャーリーガーが使いきれないほどの給料をもらえるのはなぜか?』(アスペクト 2008年)、『MLBが付けた日本人選手の値段』(講談社 2005年)がある。日刊ゲンダイで「メジャーリーグ通信」、大修館書店発行『体育科教育』で「スポーツの今を知るために」を連載中。野球文化學會会長、アメリカ野球愛好会副代表、アメリカ野球学会会員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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