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安倍官邸と大違い! 韓国大統領府ホームページの驚異の「民主化」力

市民が大統領府ホームページで賛同を呼び掛ける「請願システム」が面白い

藏重優姫 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

 今日(4月6日)の日本のANNで「世論の高まりに押されての緊急事態宣言だ」というニュースが流れてきた。また、政府の後手な感じが否めない。

 私は、韓国に住んでいる。コロナ生活3か月目。考えれば恐ろしい事だが、私の子どもも12月末からずっと学校へは行ってない。

 コロナ事態では、韓国の方が「色々な側面で日本より早い」ので、日本を客観的に見ることが出来るなあと感じている。この事態に関して私ができることは、韓国での状況を感じたままに知らせることなので、今更であるが、気負わないで読んで頂きたい。

公園には「コロナの症状があれば1339、コロナで精神的相談が必要なら1388。まずは電話を」という横断幕も=ソウル市内、筆者撮影

行政のコロナ発表が充実している韓国

 振り返って考えると、「中国の習近平さんの来日中止」か・ら・の、学校休校。「オリンピック延期」か・ら・の、感染者急増。

 海外では、日本のこのシナリオと今の状況はずっと前から報道され、よく知られていたことだ。そんな中、日本の特に地上波は、いつまで経ってものほほんとした報道であった。

 そして、最近のコロナ一色の地上波の報道。志村けんさんの訃報と重なり、急に緊迫感が出てきた。

 2か月半前、韓国では、報道番組が追いつけないほど、政府や行政からのブリーフィングが連日行われていた。テレビは政府や行政のブリーフィングの嵐だった(前回記事『家族4人で24時間一緒に過ごす「コロナ生活」@ソウル』参照)。その後に各局が手配した専門家の意見、そして、憶測や町の状況、市民へのインタビューが流れ出す。

 このような情報の伝達がコロナ事態では有益ではないのだろうか。

 政府のブリーフィングがちゃんと先行しない限り、専門家ではないMCやコメンテーターの意見、町の人の様子などを伝える等々のコロナ19関連の報道は、視聴者に印象だけを与えてしまう。つまり恐怖や不安だけを煽りかねない。

 そこらへんが日本は順番がぐちゃぐちゃだ。長期在職を狙う安倍政権にとっては、この印象操作は先手なのか? 後手なのか? 私が穿ち過ぎなのか?

民主的ではない日本の首相官邸ホームページ

 ちなみに、それぞれの国の「政府対策」を評価するにあたり、身近な指標となるのは「買いだめ」が社会現象になっているかどうかだと思う。この「買いだめ」があるか無いかも、その国の長のリーダーシップの有無と関係している。

 再度言及するが、2か月半前の韓国は、一日中政府のブリーフィングの嵐だった。政府や行政が、随時、コロナ19の現状を報告する。主に、数字と感染者の動線である。

 個人情報の開示は国ごとで制限が違うので比較することは難しいが、感染者数、検査数、死亡者数、完治者数などの数字だけでも、政府が能動的に随時市民に知らせるべきである(前回記事『家族4人で24時間一緒に過ごす「コロナ生活」@ソウル』参照)。

 テレビの画面の隅っこに随時表示するなど、嫌でも目に見えるように露出させれば、人々は否応なく実態を認識するに至る。もちろん、日本の首相官邸ホームページや、ネットなどでも知ることはできるが、これは、まだ市民の能動性に委ねているシステムである。能動的にいや積極的に知らせるべきは政府であり、これすらをしない、政府と行政は、初めから責任回避をしていると言わざるを得ない。

 誰かから、日本の首相官邸のサイトが送られてきた。首相官邸に物申せるから、物申そうというのだ。そうだそうだ!という感じで、私もそのサイトに入ってみたが、まあその作り方が民主的ではない。ただ単に、意見を書いてアップするだけではないか!(だからと言って、しないよりはマシだが!)

 韓国では、誰かが挙げた意見を読めて、それに対してコメントができ、賛同したければクリック。反対なら、自ら反対意見を挙げれば良い。

 日本の首相官邸ホームページは、このように市民と政府の意思疎通をはかろうとする装置になってない事に愕然とした。

「外国人除外」で大統領府に請願書!

 と、偉そうに呆れている私も、今回の事で、政府に直接意見が言えることを知った。そして、韓国大統領府(青瓦台)に請願書を出したのである。

韓国大統領府の国民請願ホームページ。「大韓民国で居住登録(住民登録)をしており、且つ経済活動をして税金を出している外国人に対し、政府でガイドラインを作りコロナ19に関連する支援をお願いいたします」との内容

 なぜ、請願書を出したかというと、韓国では、約1か月前に、政府が「災難支援金」を給付すると発表したところ、やはり居住登録している外国人は除外されていた。

 「ええ~! 日本人の私はもらえないの~! 税金返せ~!」と悶々としていたところ、早速、ある人が「それはおかしい!」と請願書を青瓦台のホームページにアップ。そして、それへの賛否を問う投票が始まった。

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