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新型コロナ、緊急事態宣言やイベント休止・補償を政治哲学から議論する

小林正弥 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

リベラル派の隘路

 では「リベラル派」は開催に反対するだろうか。リベラリズムは、多数の人の利益や快楽の合計を増やすために、少数派の人権を侵害することに反対し、人権の擁護をトランプの切り札のように考えて正・不正を判断する。これが功利主義との最大の相違の一つであり、リベラル派のレーゾンデートル(存在理由)ですらある。

緊急事態宣言後、街頭の大型ビジョンに安倍晋三首相の記者会見が映し出された=2020年4月7日午後7時13分、東京・新宿20200407拡大緊急事態宣言後、東京・新宿の大型ビジョンに安倍晋三首相の記者会見が映し出された=2020年4月7日

 ここからは、そもそも国や知事が功利主義的な発想によって多数者の不幸を減らすために開催自粛を求めるのは、補償がない以上、少数の開催者を犠牲にするということになるから、補償なしに自粛を求めること自体が正義に反するという議論が考えられる。

 だが、これだけだと感染の増加を防ぐことが難しくなってしまうから、

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筆者

小林正弥

小林正弥(こばやし・まさや) 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

1963年生まれ。東京大学法学部卒業。2006年より千葉大学大学院人文社会科学研究科教授。千葉大学公共研究センター共同代表(公共哲学センター長、地球環境福祉研究センター長)。専門は、政治哲学、公共哲学、比較政治。マイケル・サンデル教授と交流が深く、「ハーバード白熱教室」では解説も務める。著書に『対話型講義 原発と正義』(光文社新書)、『日本版白熱教室 サンデルにならって正義を考えよう(文春新書)、『サンデル教授の対話術』(サンデル氏と共著、NHK出版)、『サンデルの政治哲学 〈正義〉とは何か』(平凡社新書)、『友愛革命は可能か――公共哲学から考える』(平凡社新書)、『人生も仕事も変える「対話力」――日本人に闘うディベートはいらない』(講談社+α新書)、『神社と政治』(角川新書)など多数。共訳書に『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』(ハヤカワ文庫)など。

 

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