コロナ対策で人と人の接触「8割減少は折れてはいけない数字」は本当か?
2週間後に感染者がピークに達した後、減少に転じるというシミュレーションを検証
米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士

新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する安倍晋三首相=3020年4月11日午後4時13分、首相官邸
緊急事態宣言が出された4月7日に先立つ3日、政府専門家会議のメンバーである北海道大学の西浦博教授が、「東京都では患者が急増しており、感染が爆発的に増加する段階に入った可能性がある。…外出を欧米に近い形で厳しく制限し、人と人の接触を8割減らす対策を取れば、10日~2週間後に感染者が1日数千人のピークに達しても、その後に対策の効果が表れ、急速な減少に転じる」というシミュレーションを発表しました(参考)。
「接触8割削減」が「公式戦術」に
これで世論は一気に緊急事態宣言に傾き、4月7日の緊急事態宣言発出の記者会見においても安倍総理が「私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます」と述べ(首相官邸HP)、具体的目標として「『人と人の接触8割削減』による『2週間後のピークアウト』」を掲げたのは記憶に新しいところです。
総理が正式に口にした以上、当然と言えば当然ですが、「人と人との接触8割削減」は緊急事態宣言後、マスコミで何度となく取り上げられ、事実上日本の新型コロナ対策の「公式戦術」(これは「戦略」ではなく「戦術」の位置づけになります)となっていますが、一方で実のところこの「人と人との接触8割削減」戦術の中身とその詳細は明確ではありません。そこで、本稿ではこの点について論じたいと思います。