メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

トランプは「コロナ恐慌を克服した英雄」になるのか?

緊急番外編 コロナ危機―ルーズベルトかフーバーか

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

 トランプ大統領は2020年4月14日午後6時過ぎ、米ホワイトハウスのローズ・ガーデンで行われた記者会見で、WHO(世界保健機構)の新型コロナウイルス対応が適切だったか否かを検討する間、米国からWHOへの供出金を停止する方針を表明した。

 「WHOは『渡航制限は必要ない』というウイルスに関する中国の偽情報を後押しした。我々が強力な渡航制限を決めた時、彼らは我々に『そんなことをするな』と言ってきた。彼らは我々に挑戦してきたのだ」(The White House. “Remarks by President Trump in Press Briefing” 14 April 2020.

 トランプ氏は語気を強め、さらに続けた。

 「彼らの誤りによって多くの死が引き起こされた」

 米国はWHOへの最大の拠出国だ。その金額は4億ドル超にのぼり、WHOの年間予算の15%弱を占める。

 WHOの新型コロナウイルス対応には保守派を中心に「中国寄りだ」という不満が根強い。WHOの「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言が1月末にずれこんだのは、WHOのテドロス・アダノム事務局長が中国の対応を称賛し続けるなど、中国の意向に配慮して対応が後手に回ったからだ、という批判がある。

 トランプ氏の今回の拠出金停止の判断は、こうした自身の支持者と重なる保守派の不満をつかんだものといえる。

 とくにトランプ氏がWHOを激しく批判している点が、自身が1月末に中国からの入国制限を打ち出した際、WHOが異論を唱えたことにある。アダノム氏は当時、「人の移動や貿易を制限するように勧めるものではない」と反対を表明した。

拡大スイス・ジュネーブの世界保健機関(WHO)本部で記者会見するテドロス・アダノム事務局長=2020年4月15日、国連のインターネット放送から

 しかし、米国内で新型コロナ対応をめぐる初動の遅れを批判されているトランプ氏としては、中国からの入国制限が唯一胸を張ってその批判に反論できる政策といえる。記者会見のたびに「渡航制限をしなければ数千人が死んでいただろう」と繰り返しアピールしている。

 ディールを得意だと考えるトランプ氏にとってみれば、最大の拠出国というレバレッジをきかせ、「中国中心」(同氏)に毒されたWHOの態度転換を迫ることは当然のことといえる。

 ただ、トランプ氏はWHO批判に火をつけることによって自らに対する批判をそらさなければいけないほどの、切迫した国内事情を抱えているのも事実である。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

園田耕司の記事

もっと見る