松川るい(まつかわ・るい) 自民党参院議員
1971年生まれ。東京大学法学部卒。1993年、外務省に入り、国際情報統括官組織首席事務官、日中韓協力事務局事務局次長(大韓民国)、女性参画推進室の初代室長などを歴任。2016年外務省退職し、同年7月の参院選で初当選。現在、外交防衛委員会委員、予算委員会委員、自民党外交部会副部会長、 国際局次長、女性局次長、広報戦略局次長などをつとめる。当選1回。大阪選挙区。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
日本は特殊ではない。欧米と同様の事態を想定して対策をとることが必要だ
日本は今やコロナでの死亡者は263人(4月20日午後11時45分現在)、感染者数は1万人を大きく超えた。東京における感染者の増加ペースは多少鈍化したように思えるが、死亡者は増えている。
中国の隣で何百万人もの往来があり、緩い水際対策に自粛要請で、コロナの危険に随分早くからさらわれていたというのに、我が日本は、諸外国に比べれば、いまだ死亡者数は極めて低いレベルに抑えられている。
クラスター対策が奏功した、現場の医療従事者の努力、国民の高い公衆衛生意識のおかげ、いやBCGのせい、実はS型で抗体を既に大半の日本人が獲得しているなどなど、様々な“理由”をあげて、「日本だけは特別」と思いたくなるのも無理はない。だが、専門家にいくら聞いても、腑におちる説明はもらえなかった。「ジャパニーズ・ミステリー」だ。
そのせいで、超大国の米国で死者が4万近くなり、美しいイタリアや近代民主主義の元祖イギリスでも死者が2万人を超えるという現実を、連日のようにテレビが報道しようと、映画でしか見たことがない戦場の“野戦病院”のような患者の収容施設がスタジアムや公園に出現する光景が報じられようと、「明日は我が身」というより、遠い別の国のこととしか感じられなかった人は多いのではないか。
欧米では、新型コロナとの戦いは「第3次世界大戦」そのものだ。人っ子一人いないロンドンの通りは、より厳しい外出規制があるからというわけでは必ずしもなく、「死の恐怖」から外に出られない、出たくないという人々の感情から成り立っているものだ。
一方、私たち日本人にとって、「死」は自分や家族にとっての現実ではない。正直に言って。それは運の悪い誰かのもので、私にはまず関係ない、という感覚である。しかし、それは今後変わるかもしれない。
全国に緊急事態宣言が出されたが、まだ危機感はあまり感じていないという人もいるかもしれないが、危機感を持ってもらいたい。完全にフェーズは変わったのだ。
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