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新型コロナ報道にみるメディアと言葉の本質的な問題

世の中を滑らかにするために真摯な言葉選びを

佐藤信 東京都立大学法学部准教授(現代日本政治担当)

拡大新型コロナウイルス感染症対策本部で、緊急事態宣言の対象区域拡大について発言する安倍晋三首相(左から2人目)=2020年4月16日午後8時25分、首相官邸

 新型コロナウイルスに感染して集中治療室(ICU)に入っていたボリス・ジョンソン英首相が退院したという。喜ばしいことだ。

自主隔離? 自己隔離?

 他方、ずっと引っかかっていることがある。それはジョンソン首相が陽性になってから入院する前、「自主隔離」していると日本で報道されたことである。

 この自主隔離、英語はself-isolationという。確かに自主隔離と訳してもおかしくはない。だが英政府のウェブサイトを確認してみると、コロナの症状が出たら7日間のself-isolationをしろと書いてある。つまり、この隔離は念のために自主的にする性格のものではない。

 そしてまた、症状のある者と同居している場合には、14日間のhousehold isolationをしろと書いてある。後者は家庭隔離だから、前者は「自己」隔離とする方が正確だろう。そもそも陽性反応が出ている人が本当に「自主」隔離で済むのか、記者たちは考えてみなかったのだろうか。

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筆者

佐藤信

佐藤信(さとう・しん) 東京都立大学法学部准教授(現代日本政治担当)

1988年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士後期課程中途退学。博士(学術)。東京大学先端科学技術研究センター助教を経て、2020年より 現職。専門は現代日本政治・日本政治外交史。著書に『鈴木茂三郎 1893-1970』(藤原書店)、『60年代のリアル』(ミネルヴァ書房)、『日本婚活思想史序説』(東洋経済新報社)、『近代日本の統治と空間』(東京大学出版会、近刊)など。

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