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「出口戦略」としての「免疫パスポート」

検討課題は多いが、それだけに喫緊の対応が必要だ

塩原俊彦 高知大学准教授

 2020年4月2日、英国のマット・ハンコック保健相は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する免疫をもつことを証明する証明書(いわゆる「免疫パスポート」)の導入を検討していることを明らかにした。

 これは、「コロナ対策 抗体検査を急げ」で紹介した抗体検査であり、英国は4月末までに1日あたり10万人に抗体検査をできるようにする計画だ。いわば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの脱却のための「出口戦略」と言える。英国は4月10日現在、7万人以上の感染者、9000人近い死者を数えているが、すでに「出口戦略」として「免疫パスポート」という方針を明確に打ち出している。

拡大「手指の消毒剤が入荷したらしい」と聞いてロンドン中心部のドラッグストアに行列する人たち=3月10日

英国の対策

 ハンコック保健相が明らかにした英国の対策は主としてつぎのようなものである(4月2日付BBC NEWS)。

 ①イングランド公衆衛生サービスによって運営されている研究所でSARS-CoV-2を保有しているかどうかをチェックするためのPCR検査を行う、②PCR検査をより多く実施するために、大学のようなパートナーおよび巨大企業アマゾンやドラッグストアチェーン・ブーツのような民間ビジネスを利用する、③ウイルスに対する抗体をもったかどうかを検査するための血液検査を導入する、④感染率と感染の広がりを決定づけるための監視を行う、⑤巨大医薬品メーカーからの助けを借りて英国の診断産業を構築する――というのがそれである。

 ①はウイルスの存在を検査するものであり、③は過去に感染した者の抗体の有無を調べるもので、この組み合わせを明確に打ち出しているのが特徴だ。

 とくに③の検査をめぐって、ハンコックは、この抗体検査が入院中の患者や医者から国民保健サービスの職員、重要な働き手、最後により多くのコミュニティの人々へと拡大されることになると説明している(4月2日付ガーディアン)。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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