今年のGDP成長率のターゲットは4%以上。中国の動きは世界に何をもたらすか
2020年04月15日
新型コロナウイルスの蔓延でマスクが世界的に不足するなか、中国がマスクで世界に攻勢をかけている。
中国が4月10日(金)までに船積み等を終えたマスクの合計は34億枚に達した。この中には、ニューヨーク州への寄付もあれば、イタリアを訪れている中国人医療支援団が持ち込んだもの、さらにはソフトバンクの孫正義会長が日本政府に寄付した100万枚も入っている。
船積み等としたのは、船、飛行機、トラック、貨物車の四種類の運送手段を使っているからだ。いまやマスク輸出は、運輸業にとって重要なビジネスになっている。
武漢の都市封鎖が解除されたのは4月8日だが、それ以前に稼働を始めた他の都市や工業地域では、都市封鎖や外出自粛で売り上げの落ちた工業製品に変わって、マスクを作り始めている。
中国政府関係者の話では、2000社以上がマスク生産のためにフル稼働、中には三交代制のところもあり、今週末にはさらに10億枚が船積みされるとのことである。この中には国営企業が1割ほど含まれている。
ここには日本のメディアに流れたフランスへの10億枚の輸出の話は含まれておらず、この先も外需が旺盛であることがうかがえるが、とにかく世界中で不足しているマスクをこの規模で提供できるのは、現段階では中国だけである。
中国による“マスク外交”が、それを受け入れる国にとって、どれほど将来の足かせになるかどうかはわからない。また、国によって影響度も違うだろう。
しかし、米国の多くの州や都市が受け入れているように、今は自国のマスク不足を解消するため、どの国もこの中国の生産力を利用しない手はない。
隣国である日本も、中国がコロナ感染の苦境に喘いでいたとき、マスクを送った地方公共団体や小学校などがあるのだから、立場が逆になった現在は、まずは人命優先の防疫体制強化のため、支援を求めればいいのではないだろうか。
中国製マスクには不良品が多いとの不満も聞こえてくるが、それも歩止まりの問題なので、全体の数が多ければ解決する話と、割り切ればいい。そもそもマスク工場ではないところで作ったモノである。彼らにとっては、ここは「質より量で勝負」なのだ。
ここで、中国が新型コロナ対策として、全国的に都市封鎖や外出自粛を行ったことにより、1〜2月にマイナスの影響が大きかった産業の3月以降の変化を、現時点で入手できるデータを使って見てみよう。
中国の多くの省や都市は、2月末で実質的な新型コロナ終息宣言を出しているので、この前後での違いを見るのは、中国経済の景気浮揚を占う一助となる。
全体の動きを見るため、浙江省金華市の中にある、義烏市のマーケットから出てくるメッセージを拾うと、2008年のリーマンショック以上の経済悪化に直面しており、短期間による回復はあり得ないという。これは、世界の中国経済に対する一般的な見方でもあるだろう。
ちなみにこのマーケットは、様々な商品を取扱うマーケットの混合体といえるが、日本との関係で言えば、全国各地の「100円ショップ」で売られている商品の多くが、ここで買い付けられて輸入されている。
だが、一方で中国の経済動向指標となっている生産指数PMIの動きを見ると、2月の35.7から3月には52と急上昇し、ブルームバーグの44人のアナリストの予想の平均を大幅に上回った。中国経済の浮沈を握る貿易関連でも、全体の75%にあたる企業がフル稼働まであと3割のところまで生産を回復しており、直近でも、1週間前に比べて稼働率が4%上昇している。
つまり、新型コロナで問題となったグローバル・サプライチェーンの断絶は、中国が請け負っていた部分に関して言えば、かなり元に戻ってきているのだ。
貿易の物流を担う運輸面も、欧州向けの二つの主要な鉄道のうち、一つの玄関口である内モンゴルのフフホト駅では、2020年第一四半期に前年同期比19%増の379本の貨物列車が発着、輸送量も同20%増の400万トンとなった。
ただし、これは、もう一本の武漢発の欧州向け鉄道が封鎖されている間の数字なので、割り引いて見る必要はあるかもしれない。
しかし、全国の自動車販売店のうち4S(販売・メンテ・部品供給・顧客サーベイ)を行うショップ8721店は、その98.8%が4月3日(金)までに営業を再開した。同時に、中央政府および地方政府が、昨春まで続けていた自動車購入のための補助金を再開したため、受注がすでに増え始めており、4月以降の増加ペース次第では、中国の国内経済を牽引する可能性を秘めている。
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