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新型コロナは外交手段? マスク輸出と内需拡大で経済復興を始めた中国

今年のGDP成長率のターゲットは4%以上。中国の動きは世界に何をもたらすか

酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

回復しつつあるグローバル・サプライチェーンとの断絶

 ここで、中国が新型コロナ対策として、全国的に都市封鎖や外出自粛を行ったことにより、1〜2月にマイナスの影響が大きかった産業の3月以降の変化を、現時点で入手できるデータを使って見てみよう。

 中国の多くの省や都市は、2月末で実質的な新型コロナ終息宣言を出しているので、この前後での違いを見るのは、中国経済の景気浮揚を占う一助となる。

 全体の動きを見るため、浙江省金華市の中にある、義烏市のマーケットから出てくるメッセージを拾うと、2008年のリーマンショック以上の経済悪化に直面しており、短期間による回復はあり得ないという。これは、世界の中国経済に対する一般的な見方でもあるだろう。

 ちなみにこのマーケットは、様々な商品を取扱うマーケットの混合体といえるが、日本との関係で言えば、全国各地の「100円ショップ」で売られている商品の多くが、ここで買い付けられて輸入されている。

 だが、一方で中国の経済動向指標となっている生産指数PMIの動きを見ると、2月の35.7から3月には52と急上昇し、ブルームバーグの44人のアナリストの予想の平均を大幅に上回った。中国経済の浮沈を握る貿易関連でも、全体の75%にあたる企業がフル稼働まであと3割のところまで生産を回復しており、直近でも、1週間前に比べて稼働率が4%上昇している。

 つまり、新型コロナで問題となったグローバル・サプライチェーンの断絶は、中国が請け負っていた部分に関して言えば、かなり元に戻ってきているのだ。

自動車の受注は増加、パソコン業界は活況……

 貿易の物流を担う運輸面も、欧州向けの二つの主要な鉄道のうち、一つの玄関口である内モンゴルのフフホト駅では、2020年第一四半期に前年同期比19%増の379本の貨物列車が発着、輸送量も同20%増の400万トンとなった。

 ただし、これは、もう一本の武漢発の欧州向け鉄道が封鎖されている間の数字なので、割り引いて見る必要はあるかもしれない。

拡大操業が再開されている武漢市内のホンダの工場=2020年4月8日、武漢市、平井良和撮影
 一方、現在の中国の国内景気動向を担う自動車業界をみると、1〜2月の自動車生産台数と販売台数は、それぞれ前年同期比45.8%減の200.5万台、同42%減の224万台となった。

 しかし、全国の自動車販売店のうち4S(販売・メンテ・部品供給・顧客サーベイ)を行うショップ8721店は、その98.8%が4月3日(金)までに営業を再開した。同時に、中央政府および地方政府が、昨春まで続けていた自動車購入のための補助金を再開したため、受注がすでに増え始めており、4月以降の増加ペース次第では、中国の国内経済を牽引する可能性を秘めている。

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筆者

酒井吉廣

酒井吉廣(さかい・よしひろ) 中部大学経営情報学部教授

1985年日本銀行入行。金融市場調節、大手行の海外拠点考査を担当の後、信用機構室調査役。2000年より米国野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、日本政策投資銀行シニアエコノミスト。この間、2000年より米国AEI研究員、2002年よりCSIS非常勤研究員、2012年より青山学院大学院経済研究科講師、中国清華大学高級研究員。日米中の企業の顧問等も務める。ニューヨーク大学MBA、ボストン大学犯罪学修士。

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