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政党はコロナによる政治危機にどう立ち向かうべきか

山口二郎 法政大学法学部教授(政治学)

2カ月半を空費した日本政府

 新型コロナウイルスの蔓延は今年の1月から3月にかけて中国、韓国で実際に起きた大問題であり、感染が遅れた日本にとっては準備をするための時間が与えられていた。しかし、日本政府はこの2カ月半を空費した。それは、2月中の安倍首相の夜の行動を見れば明らかである。何の緊張感もなく、友人、配下の政治家との会食を重ねていた。オリンピックを予定通り開催して日本の雄姿を世界に誇示したいという野心が3月半ばまで安倍首相と小池百合子東京都知事の最大の関心事であった。そのことが問題の深刻さについての正確な認識を妨げた。2、3月の段階で新型コロナウイルス対策は日本と韓国で対照的な違いを見せていた。昨年来の日韓関係の悪化の中で日本の世論は韓国の検査拡大方針を嘲笑していた。アジアに対する根拠のない蔑視が韓国、中国の経験を冷静、客観的に分析、学習するという態度を阻んだ。

 3月24日のオリンピック延期の発表はポツダム宣言の受諾に当たる。NHKニュースはこれを安倍首相の決断と報じたが、これは敗戦の受容を聖断と美化するのと同じである。オリンピックを実施するために意図的に感染の実態を隠蔽したとまでは言えないのだろうが、これ以後感染拡大は進み、政府もあわてて対策に乗り出した。それにしても、経済活動の持続と感染拡大防止の二兎を追うという不徹底な路線が続いている。

 私には、対策内容の適否を論じる能力はない。しかし、現政権には一元的な指揮責任体制が存在しないことは指摘できる。

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筆者

山口二郎

山口二郎(やまぐち・じろう) 法政大学法学部教授(政治学)

1958年生まれ。東京大学法学部卒。北海道大学法学部教授を経て、法政大学法学部教授(政治学)。主な著書に「大蔵官僚支配の終焉」、「政治改革」、「ブレア時代のイギリス」、「政権交代とは何だったのか」、「若者のための政治マニュアル」など。

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