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韓国コロナ対策には「セウォル号事件」の教訓があった

あれから6年。文政権は4·16セウォル号事件を忘れず、4.15総選挙に勝った

徐正敏 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長

国民の信頼を得たコロナ対策

 そして、私たちはいま、国家の危機管理能力が問われる事態に再び直面し、そこで国家がどう作動するかを目の当たりにした。もちろん次元は違うが、セウォル号事件を超える国家的危機といえるであろう。covid-19(新型コロナウイルス)の問題である。

 国家に負わされた責任とその責任者の責務とは何かを、私たちは改めて確認したのである。

 中国から新型コロナウイルスが生まれて、韓国でも感染者が発生した。しかし韓国政府は、中国との人的交流を遮断しなかった。徹底した検疫・検診システムを整え、これに備えた。

 もちろん大きな困難もあった。新宗教の一つである「新天地」の集団感染とそれによる波及は一時感染爆発の危機にまで駆け上がった。特にその宗教集団の非協力により韓国政府の対策には大きな困難が立ちはだかった。

 しかし、現在の政権は前政権下で起きたセウォル号事件の痛い記憶を蘇らせたと思われる。

 結局、現政府は、災害コントロールタワーを正常に動作させ、積極的に国民の生命の安全を第一のモットーとする姿勢を堅持し、情報公開を徹底した。

 いくつかの方法を動員して、最高レベルの診断方法、感染者の管理、医療崩壊を防ぐための取り組みを実施し、国民に周知した。

 そうした危機管理は今のところ、大きく成功したと見られる。

拡大新型コロナウイルス感染の現状について記者会見で答える韓国の中央防疫対策本部のチョン・ウンギョン本部長=2020年4月17日、同本部提供

 爆発的に増加していた感染者は大幅に減り、感染による死亡率も極めて低い状態に調整されている。この過程で積極的防疫システムと感染経路の制限のための政府の努力は、国民の信頼を得た。

 これはまた、世界各国の支持と賞賛、さらには協力要請につながっている。セウォル号事件で世界から後ろ指を指された国が今、covid-19の状況で大きな尊重と羨望を世界中から買っているのである。

 現政権がセウォル号事件の痛い経験を繰り返さず、国家の役割は何たるかを省察したことがこうした結果を生んだといってよい。

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筆者

徐正敏

徐正敏(そ・じょんみん) 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長

1956年韓国生まれ。韓国延世大学と大学院で修学。日本同志社大学博士学位取得。韓国延世大学と同大学院教授、同神科大学副学長、明治学院大学招聘教授、同客員教授を経て現職。アジア宗教史、日韓キリスト教史、日韓関係史専門。留学時代を含めて10年以上日本で生活しながら東アジアの宗教、文化、社会、政治、特に日韓関係を研究している。主なる和文著書は、『日韓キリスト教関係史研究』(日本キリスト教団出版局、2009)、『韓国キリスト教史概論』(かんよう出版、2012)、『日韓キリスト教関係史論選』(かんよう出版、2013)、『韓国カトリック史概論』(かんよう出版、2015)、『東アジアの平和と和解』(共著、関西学院大学出版会、2017)など、以外日韓語での著書50巻以上。

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