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トランプを昂ぶらせた米朝首脳会談

第5部「『炎と怒り』から『恋に落ちた』―戦略なき衝動外交」(2)

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

政治的野心と他国防衛コストの引き下げ

 正恩氏がトランプ氏に首脳会談の開催を呼びかけた動機について、米国の北朝鮮問題専門家、K・A・ナムクン氏は「北朝鮮は石油の輸入制限などで経済的なダメージを受けてきたが、戦略を転換したもっと大きな理由は、北朝鮮が米国と一年間にわたって意思疎通を図った結果、トランプ大統領とならばディールが成り立つと自信を深めたからだ」と語る(K・A・ナムクン氏へのインタビュー取材。2018年4月30日)。

 ナムクン氏は、独自の北朝鮮外交を展開したリチャードソン米ニューメキシコ州知事の外交上級顧問を務めるなど北朝鮮と極めて強いパイプをもつ人物だ。

拡大K・A・ナムクン氏
 ナムクン氏は「歴代米政権は、北朝鮮が犯した罪を認めるなら、経済制裁解除や食糧支援などの見返りを小刻みに与えるやり方だった。だが、トランプ氏は違う。『もし君たちが我々に『大きなもの』を与えるのなら、我々も『大きなもの』を与える。君たちが同時に取引することを主張するなら、それで結構』という態度だ。ビジネスマンで、これまでとは全くタイプが異なる」と語る。

 そのうえで、「正恩氏は1990年代初頭の『朝鮮半島の非核化に関する共同宣言』へ回帰するという決断をした。正恩氏はトランプ氏が大統領であるタイミングに、祖父・金日成主席の遺訓に戻り、国を開こうとしている」という見方を示し、米朝首脳会談に強い期待感を示した。

 一方、トランプ氏が正恩氏の提案を受け入れたのは、二つの思惑が考えられる。

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筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

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